※遊郭パロ









 《花びらひとつ》












まさかこんなことになろうとは・・・・・・・

エリオットは、心の中で深くため息をついた。

エリオットが今いるのは、男なら誰でも喜ぶ、女を買い、快楽を得るところ・・・・いわゆる遊郭である。
今まさにエリオットはその遊郭の、最も豪華な部屋へと招かれ、相手を待っているところ。
用意周到にも、広い布団が敷かれ、花の香りが、部屋中に漂っている。







なぜ、こんなことになったのか。それは数日前にさかのぼる。




『はぁ?遊郭だと?』
『うん。そうらしいよ』



いつものように大好きな読書をしているエリオットに、従者であるリーオはあっさりとそう告げた。
エリオットは従者の言葉に、本をばたんと閉じ、リーオにずいっと詰め寄った。

『どういうことだ?!』
『だから、君は、これから週1で遊郭に行くことになったんだよ』
『なんでだ?!』
『君もいい年でしょ。だから、そういう経験も必要だ、ってことになったんだって』
『断る』
『もう、決定らしいよ。ちなみに、そこの1番人気さんが相手してくれるってさ。よかったね、エリオット』











そこまで思い出し、エリオットは自分の頭を抱えた。
絶対行かねぇぞ!!と言い続けていたものの、ついにその日になり・・・つまり今日なのだが、リーオに見送られ、今に至るというわけだ。

「くそくそくそくそ!何でオレが・・・・・っ」
「どうかなさいました?」




がらっと襖が開いた音がし、襖と反対方向を見ていたエリオットは、恐る恐る振り返り・・・・・・思わず、見惚れてしまった。




金の短い髪。色白で、その身にまとう豪奢な着物がよく映える。
小柄で、ぱっちりとしたエメラルドの瞳が、エリオットを射抜いている。
エリオットが今まで考えていた遊女とは、まったく違っていて。
あまりの美しさに目が離せなかった。今まで、美人はよく見てきたつもりだが、それの比ではない。

あんぐりと口を開け、自分を見つめているエリオットにその遊女は微笑み、


「はじめまして。オズです」



ゆっくりと、部屋に入り、襖を閉め、オズと名乗った遊女は畳に座った。
その動作にも見とれたエリオットだが、ようやく気を取り直し、

「エリオット・ナイトレイだ」
「存じています。あの四大公爵家の1つ、ナイトレイ家の嫡子の方だとか」
「ま・・まぁな!」



では・・・とオズは着物をはだけさせた。
その瞬間、エリオットの顔は一気に真っ赤に染まる。



「だぁぁ!待て!待て!胸が見えるだろうが!!」
「よく見てください」



顔を手で覆ったエリオットだが、オズのその言葉に、指の隙間からオズの方をみやる。
そして、再び唖然。

「お前・・男なのかっ?!」

オズのその胸元に、本来なら女にあるべき乳房がなかった。


「そうですよ。気づかなかったんですか?」
「おおおお男が遊郭にいるのか?!」
「結構いますよ?男を抱きたいっていう、お客様が多くいらっしゃいますから」






そうほくそ笑みながら、オズはエリオットを布団に押し倒し、己の唇をエリオットのそれと重ねた。
そして、舌をねじこみ、歯をなぞり、エリオットの舌と絡めた。

そのキスの巧さに、エリオットの手からは力が抜ける。
ちらりと目を開けると、オズの瞳と重なり、顔が沸騰したかのごとく熱くなる。




「・・ふっ・・はぁ・・・」




ようやく離された口に、エリオットははぁはぁと息をつく。
その慣れていないエリオットの様子に、オズは驚いたように目を見開き、

「もしかして・・・・初めてですか?」
「つっ・・!!」
「じゃあ、オレが始めての相手なんですね」


にっこりと微笑むオズに、エリオットの心臓は激しく動く。
なんだ・・この気持ち・・?!





オズが再びエリオットに手を伸ばし・・・・その手が触れる前に、エリオットはいきおいよく立ち上がり、



「お・・オレはお前を抱かないからな!」
「・・・はぁ?どうして」
「なんででもだっ!!!」
「でも、これからずっと通うことになってますよ?」
「くっ・・・・」




と・・とりあえず今日は帰るからな!と叫ぶと、エリオットはずかずかと歩き、襖を乱暴に押し開け、そこでぴたりと止まった。
振り返り、不思議がるオズを指差す。


「あ、あと!!その敬語やめろ!うっとうしい!」
「はぁ・・?」
「次来るまでに直しとけっ!!」



きょとんとしたエメラルドの瞳は、すぐさま、細められ、


「分かった、エリオット」



ばたんと、襖を閉め、エリオットは火照った顔を冷やそうと、手で己をあおぐ。
しかし、この火照りは全く収まらず、心臓の高鳴りもおさまらない。









なんてことだ・・・・



エリオットは人気のない廊下にしゃがみこんだ。





「少しだけ会った奴で・・男で・・・遊女まがいのことをしてる奴のことを・・・・」






(好きになってしまったなんて)

















記念すべき(?)エリオズ1作目
エリオットは、お金を払って無理やり、っていうのが嫌なんだと思います。
管理人の中ではかなりの男前なんで、エリオットはwwww









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