《ヘタレを直そう!大作戦☆2》



















「・・・・・・・」

仕事に熱中し、気がつくと昼になっており、オレは昼食をとるために、大広間へ向かった。
そこにはすでに皆そろっており・・・・シャロンは悔しそうにオレを見、バカウサギは大量の皿を重ねて、満足そうに肉をフォークでつついている。
そして、オズとブレイク・・・最大の敵2人は、優雅に食事をしていて・・・その余裕が恐ろしい。


てっきり食事の中に何か入っているかと、内心びくびくしていたが、そんなことはなく、無事に昼食を終えた。
コーヒーをすすっていると、オズとブレイクが何やらこそこそと話していて。
そっと耳をすませると、



「それでは、わたしが行ってきましょうかネェ」
「おっけー。がんばってブレイク」



なにその連携感。
ブレイクと仲良さげに手を振るオズに、少々ムッとしながら、オレはコーヒーを一気に飲み干す。


「あれ、ギルってコーヒー飲めたっけ?」
「飲めるようになったんだ」
「そう・・・かぁ」




ん?何かさびしそうな顔をしてるぞ。


「オズ?」
「なんでもないよ。ほら、行っておいで」


オズに促され、半ば強制的に部屋を出された。

いったいどうしたんだろうか・・・
オレは、お前のためにヘタレを脱却して、強くなったのに。


もんもん考えている内に自室に着き、オレはノブを回し、部屋に入ろうとして・・・・・・固まった。





「・・・・・・・・ぶぶぶぶぶれいくぅぅぅ!!!」






部屋の中には、大量の生き物がいた。
怖い話や虫、あらゆるものを克服してきたオレだが、唯一克服出来なかったもの・・・



「にゃー」
「ぎゃあああぁ!!」





それは猫である。
部屋いっぱいの猫。ベッドの上やら、机の上やらに猫がいる。その数およそ30匹。
あの短時間で、こんなことしてやがったのかブレイクの野郎・・・!!



どどどどどどどうしよう(混乱中)
激しく今逃げたい。でも、そしたらヘタレ脱却が・・・!
 
ふと、足に何かが触れた気がして、視線を下に移した。
そこには、いつの間にか足の上に猫が座っていて、オレの足に頬をすり寄せている。



「ね・・・こ・・・」



意識がぼんやりとしてきた。体が傾き・・・・・・最後に見えたのは、どこからともなく現れた、ブレイクの不敵な笑みだった。





















目が覚めた後、真っ先に言われた言葉は、
「やっぱりヘタレでしたネェ、ギルバートくん」
だった。

なんかもう、どうでもいいや・・・・

オレはあの後、気を失い、オレの部屋は猫だらけだったので、オズの部屋に運ばれたそうだ。

「はっ!猫とやらが苦手とは、お前もまだまだだな!ワカメ!・・ところで猫とは美味しいのか?」
「ギルバートさまは、ヘタレなのが1番お似合いですわよ」
「お嬢様。それは言いすぎですヨ。ヘタレのワカメがお似合いです」
「あまり変わってませんこと?ブレイク?」
「そうでしたネェ」


何?お前らオレをそんなに苦しめたいのか・・・


そっとオズを見ると、苦笑している。
呆れたか。しょうがない。こんな無様な姿を見せたんだからな・・・・








「それでは、わたくしたちは帰るとしましょう。安静にしといた方がよろしいでしょうから」


そう言ってシャロンたちは部屋を出て行った。外にいるのに、部屋の中まで笑いが聞こえてくるのは何でだろうな。

オレはため息をつき、いまだ椅子にちょこんと座っているオズに、

「オズ。お前は行かなくていいのか?」
「いや、オレはもうちょっとここに居るから」
「そうか・・」
「お前はゆっくり休んでていいから」



つっ・・・
やばい泣きそうだ。
何で、お前はこんなに優しいんだ。普段はイタズラ好きでやんちゃで、オレをからかうのが大好きなくせに。何で、オレが悲しい時には、こんなに優しいんだ。暖かいんだ。

オレは。


「オズ・・」
「ん?」


オレは、オズに顔を見られないよう、オズに背を向けた。



「呆れたか・・?」
「え?」
「オレがいまだに、ヘタレで・・・やっぱ呆れたよなっ・・・猫見て気を失うなんて・・な・・」
「オレは、別にいいと思うよ」
「そうだよな・・やっぱ呆れ・・・えっ?!」


予想外の言葉に、オレは慌てて起き上がった。
オズは目を細めて微笑んで、オレの頭をよしよしと撫でた。



「オレは、ギルはそのままでいいと思う。ヘタレでも。猫を見てぶっ倒れるような奴でも」
「だっ・・だが・・・」
「というか!ギルがたくさん変わっちゃってたら少し悲しい・・かも。なんか、オレが知るギルじゃないみたいでさ。でも、やっぱギルだな!!」

オズがふんわりと笑う。
いや、違う、オレはヘタレなんかじゃない、そう弁明しようとしたが、止めた。

 




オズが笑ってくれているならそれで構わないから。
オレは、オズを守って、オズが幸せに笑っていてくれることが目標だったから。






ヘタレでも、いいかもしれない。




「オズの、オレに対する認識はいったいどんななんだ・・・」
「えー?ヘタレで、誰よりも優しくて。大好きな従者!って感じかな」





訂正。ヘタレ万歳。












これは後日談だが・・・

「そういえば!ギルバートくん!確か負けたら、君にある言葉を言ってもらうことになってましたよねェ?」
「うっ!」
「ちゃんと覚えていましたからネ。ほら早く言いなさい。『僕はヘタレです。ヘタレでワカメの男です。味噌汁の具になります』とね!」
「そ・・そんなこと言ったか・・?」

とぼけてみる。そんな屈辱なこと言えるわけないだろうが!!


「ほう。あくまでとぼける気ですね。オズくーん」

シャロンと談笑していたオズを呼び、

「このワカメ。約束を破ろうとしてるんですヨ」
「ギルはそんな約束を破るような奴じゃないから。な?ギル?」




おおおおオズ・・・・!!

し・・仕方ない!こうなったらヤケだ!オズはオレを、信じてくれているんだから・・!!



「僕は・・っヘタレです。へ・・っ・・ヘタレでワカメの男です。みみみみそ・・・汁の具になり・・っま・・す!」



言い終わるやいなや、2人爆笑・・・おっ・・オズまでっ?!


「まさか・・本当に言うとはネェ」
「正直というか、素直というか。やっぱヘタレだねぇ、ギルは」




く・・くそ!!





訂正!やっぱヘタレを脱却するぞ!!


















↑はオズの言葉かな。
小悪魔オズさまの出番はなかったですね(笑



 


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