《ヘタレを直そう!大作戦☆》
「ギルってさ、まだヘタレなの?」
朝1番のオズの第一声がこれだった。
「おっ・・オズ?!」
オレは慌ててオズに駆け寄った。
オズやブレイクたちはちょうど朝食中で、オズは可愛らしく手に持っていた牛乳(身長促進のため)をこくりと飲み干した。
「いやね、今みんなで話してたんだ。ギルのへタレについて」
「なっ・・・」
「そうですヨ。オズくんが、昔からギルバートくんはヘタレだったと言っていたので、この10年間も変わらずヘタレでした、と」
「黙れブレイク!あのな、オズ。オレはもう24になったし。もう克服したんだ」
「そうなの?」
「ああ」
一人称も僕からオレに直したし、銃も撃てるようになったし、料理も出来るようになったし。
うん、しっかり克服してるぞ、オレは。
「本当かなぁ」
オズは、楽しそうにオレを見つめる。
「オレは心配なんだよ。オレの可愛い従者がちゃんと成長したかどうか」
心配とか言いながら、口は弧を描いているし、瞳はらんらんと輝いているが。
「なら・・・試してみてはいかがでしょう」
シャロンが、コーヒーカップを机の上に置き、にっこりと微笑んだ。
「試す・・?」
「ええ。今日1日、私たちが1人ずつ、ギルバートさまに様々なアクションを起こしますわ。それに、ギルバートさまが大人に対処できたなら、ヘタレを脱却した、ということになりますわ」
「無理デショ」
「そっ即答するなブレイク!」
「じゃあ、もし、ギルバートくんがヘタレのままなら。『僕はヘタレです。ヘタレでワカメの男です。味噌汁の具になります』と言いなさいヨ?」
なんてゆー屈辱!
「あ・・・ああ!いいぞ!受けてたつ!オレが勝ったらどうなるんだ?」
「何もないに決まってるでしょうが、このワカメ」
つっ・・・
いいさ!やってやる!オズに見せてやるんだ!オレはヘタレなんかじゃない!
「ギルバートさま?」
部屋で仕事をしていると、ドアがノックされた。
どうやらシャロンらしい。お前が最初の刺客か・・!
「ああ、入っていいぞ」
そう言うと、シャロンが入ってきて・・その手の中には1冊の本が握られている。
「ギルバートさまに本を朗読してさしあげようと思いまして」
「本?」
「ええ。題名は『本当にあってしまった怖い話』というものです」
シャロンはそう言うやいなや、本を開き、朗読し始めた。
20分後・・・・
「そして・・その後ろには・・・・きゃーっ」
なぜ、怖がらせようと思っている奴が、怖がっているんだ。
シャロンは、涙目になりながら続きを話そうとするが、なかなか先に進まない。
「シャロン。もういいから」
「なっ・・なんでギルバートさまはそんなに平気ですのっ?!」
「いや・・・それ、オズから小さい頃毎日読み聞かされていたから」
ああ・・・忘れもしない。
毎日毎日、国中の怖い話が載っている本を集め、オレに朗読をしてくれていた・・・・しかも夜。
その度、ぼろぼろに泣き、オズに笑われていた・・・
オレはヘタレ脱却のために、まずその怖い話から克服をしたのは言うまでもない。
「くっ・・!思慮が足りませんでしたわ!オズさまの小さい頃を考えていませんでした・・!」
シャロンは悔しそうに部屋を出て行った。
ふっ。オズは超がつく小悪魔で、人をいじめるのが好きな奴なんだぞ。
その程度のことはされてるし、ちゃんと克服するに決まっているだろうが。
とにもかくにも、これで1人が脱落した。
これはいけるんじゃないか、オレ。
いや待て。まだ3人もいる。ここで油断は・・・・
こんこん
来た!第2の刺客が・・・!
「どうぞ」
「失礼するぞ、ワカメ」
2人目はアリスか。こいつのすることはよめない・・・いったい何をする・・・
「見ろ!」
そう言ってバカウサギが出したのは・・・・こんがりと焼けた大量のお肉だった。
「・・・は?」
「お前にはやらないぞ!私が全て食べるからな!」
「はぁ?」
「どうした?泣いて請うなら、くれてやってもいいぞ」
「いや、いい。朝ごはん食べたばかりだし」
「ふん!じゃあ、私が食べてしまうぞ!いいのか!」
バカウサギはオレに見せ付けるように食べ始める。
お前、ヘタレの意味分かってる?
さすがにオレもそんなのに引っかからないから。というか、全部が全部、お前みたいに食に対する猛烈な思いがあると思うなバカウサギ。
「はむはむ。美味しいぞ!この肉!」
「そうか・・よかったな」
これであと2人。
オレは気を引き締める。
この戦いは、残りの2人がほぼメインなのだから。
しかし、オレは勝つぞ。
絶対オレはヘタレじゃないことを証明してやる・・・!!
オレはヘタレじゃない!
あれ・・終わんなかった。続きます。
ってか、直そう!大作戦☆じゃないよね。からかおう!大作戦☆だよね(笑
次は、パンドラ最強の男と、小悪魔オズ様ですwwwww