認識と確認

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午後の授業が終わり寮に戻ろうと思ったところで、ミヤギとトットリはシンタローに稽古試合を見に来ないかと誘われた。シンタローとその仲間たちでトーナメントをやるらしい。
ミヤギは二つ返事でOKしたが、トットリはなんとなく気が乗らずに適当に理由を作って二人と別れた。
普段ならトットリがそういう態度をとればミヤギは執拗に理由を聞いてくるのだが(そして納得するまで開放してはくれない)、シンタローといるときは別だ。
ミヤギは心からシンタローに憧れており、彼と話しているときは他のことは考えられないらしい。
いつもはそんなミヤギを見て寂しく思うのだが、今日は何故だかそんな風には感じられなかった。


トットリは中庭に出てベンチに腰掛けた。なんとなく憂鬱だ。
いつもミヤギと一緒にいるせいで忘れていたが、一人は苦手なのだ。少し無理をしてでもミヤギたちに付き合えばよかった。
トットリはため息を吐いた。
と同時に、後ろから物音がした。
「誰だッ」
トットリは反射的に振り返って、そして驚いた。そこに立っていたのはクラス一根暗でその存在を忘れ去られているアラシヤマその人だった。
「…アラシヤマ。おめぇなしてこげんとこにおるんだいや」
「何したはるの?」
アラシヤマはトットリの質問を無視して別の質問を投げかけてきた。
これだから友達ができないのだとトットリはうんざりした。
どうして「天気がええから散歩しよったところどす。あんさんは?」ぐらい言えないのだろうか。

「…おめぇにゃあ関係あらせんわいや」
相手がそんな態度なので、自然とこちらも無愛想になる。
トットリは普段決して親友や周りの人間には見せない顔をしていた。

「今日はあの金髪のお友達とは一緒やないんやね」
「そいがどげした」
アラシヤマはトットリの目の前まで歩いて来て、そこで立ち止まった。
座ればいいのに、と思ったが声には出さない。こいつとベンチで仲良く談笑だなんて冗談じゃないし、アラシヤマもそんなに長く話すつもりはないのだろう。
しかし、だからと言って何故人の眼前に立つんだこの根暗は。
見下ろされる体勢にムッとして睨み上げたが、アラシヤマは動じなかった。黙ってこちらを見ている。

トットリは段々気分が悪くなってきた。
アラシヤマとまともに会話をするのは初めてだが、ここまで訝しい奴だとは思わなかった。無性にイライラする。



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