寒い夜

(2/3)

「お、おい…泣くなよ…えーと、お前は寒くねぇの?焚き火でも焚こうぜ」
あーくそ、なんで俺はこのタフな癖に泣き虫な鬱陶しい男が泣くたびに狼狽えなきゃなんねーんだ。
それはそうと、今日は焚き火を焚いてなかった。通りで寒いわけだ。

「焚き火言うたかて…燃やすモンありまへんえ」
「なんだよ薪くらい用意しとけよ…あ、その人形木製だしよく燃えるんじゃね?」
「さ、斎藤はん…!あんさんいくらなんでも…!」
「冗談だって…んな顔するなよ…」
どう聞いても軽いジョークじゃねぇか、なに犯罪者でも見たような顔してんだよ気分悪いな。
そんなんだから友達できねぇんだろ。

「まあでも、そんな寒いんやったら…困りましたなぁ。あんさん一応病人やし」
「そうそう、だからそのデッサン人形をだな…」
「トージ君は渡しまへん!…そうやのうて、わてが暖めたりますよって」
「…はぁ?」

おいおいこいつ何言っちゃってんの…?俺そんな趣味ないんだけど…。
俺がテンパってる間にアラシヤマはさも当然のように俺の布団に入って来やがった。
ええええ何だこの展開。待て待て人の話聞けって。

「あんさん炎は出せるけど体内でコントロールはでけへんやろ?わては自分の身体の中の熱も操れますよって、体温上げることもできるんどす。さすがに40度以上は危険やから無理どすけど」
なるほど、こいつにそんな能力があるとは知らなかった。確かに暖けぇ。
いやしかしこれはどう考えてもおかしいだろ。
なんで狭い一人用の布団で大の男が二人して仲良くおねんねしなきゃなんねーんだ。
一つの布団に枕が二つってこんな嫌な状態のことだっけ?

「ふふ…なんやこうしとると、わてらお泊り会しとる親友みたいどすなぁ…」
なんか寒いこと言ってる。お前そんな経験ないだろ。つか、大体それ女子とかの場合だろ。
まったくどうしてこいつはこんな気持ち悪いんだ。

「斎藤はん…どない?暖かい?」
ああもう何だその目は。何恥ずかしそうにしてやがる。
つか顔近ぇんだよよく見りゃ綺麗な顔しやがってこの野郎。
顔赤らめて上目遣いしてんじゃねーよ万が一間違いでも起こったらどうすんだ。

…あれ?待て待て、間違いってなんだ。やばい俺なんかおかしい。落ち着け俺、ここは引くところだ。間違っても赤面するところじゃねぇ。
狭い一人用の布団で大の男が二人顔赤らめてたら気持ち悪い通り越して…えーと、なんだ…とにかくすげぇ気持ち悪いだろうがよ。



*prev | | next#


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -