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短編
とある朝、いつもの朝


 理由なんて、必要ないんだ。世の中の事物全てに一々意味があるのか? 違うだろ? 心臓が動くのも、呼吸をするのも、そんなの理屈じゃないじゃないか。
「生命維持活動と色恋を一緒くたにすんなよ……」
「一緒だよ。心臓が動くように、呼吸をするように、ごく自然に好きになっていたんだから」
「言ってろ」
 何故だ、何故友哉は分かってくれないんだ。いや、それ以前に、何故俺がこれだけ真剣に話しているのに、朝から二限目の英語の予習などしているのだろうか。
「なあ、友哉」
「今予習してんだよ」
「お前昨日指されたんだから今日指されないだろ」
「そういう問題じゃないだろ」
 呆れたように友哉は深くため息をはく。何て優等生なんだ。俺の予習プリントは見事に真っ白だというのに。ちなみにここ三時間ほど指されていないが気にしない。
「じゃあどういう問題なんだよ。俺の話より大事なことなのか?」
「ああ」
「即答……」
 チーン、と頭の中に鐘――葬式で使われるあのお椀型のやつ――の音が響く。傷つく。これはさすがに傷つく。
「友哉って本当ひどいよな……」
「紀佑もだろ」
 友哉はようやく手を止め、俺を見ていた。
「紀佑だって俺の気持ち、分かってないじゃないか」
 それまで俺に向けていたような呆れた目ではなく、真剣な目であった。でもその視線はまたすぐにプリントに戻される。ため息まじりに友哉は言う。
「静かに予習させてくれ」





―――――
べーえるっぽいようなぽくないような話が書きたくて。
どう思いましたか?

ともやくんとのりすけくんです。
のりすけくんの名前が気に入りました。

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