短編 | ナノ




短編
巡る思考の行き着く先は


つまらない授業。

ふと、窓の外に目を向ける。
中庭のようなそこには、紅白の梅が並んでいる。
ふいに枝が動いた。
風が吹いたのとは違う、不自然な動き。
その場所に目を凝らすと、見えた。
小さな暗緑色――いわゆるうぐいす色の鳥。
うぐいす色。
うぐいす色の鳥はうぐいすではないと聞いたことがある。
多分あれは、メジロかメグロ。
目の周りの色まではよく見えないけれど、おそらくメジロだろう。
そんな気がする。

黒板に目を向けると、授業は大分進んでいた。
とはいえ、ただプリントを埋めていくだけの授業なので、大した問題ではない。

つまらないというより、意味のない授業だ。
クラスの2/3以上が内職をしているに違いない。

窓の外に目を戻すと、メジロの姿は見えなくなってしまっていた。

メジロには、人間がどう見えているんだろう。
………いや、人間なんて見ていないか。

時々、考える。

人間は自分達がどれほど馬鹿なことをしているか気づいていないんだ。
無意味な授業を受けて、くだらない話をして、上辺だけの人間関係を持って。
こうして、文字を並べていることも。
この世界自体に、大した意味なんてないんだから。

メジロはいつの間にか二羽になっていた。
私の中二病を嘲笑(ワラ)いに来たのだろう。


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