頭の上に赤いフレームの眼鏡を装置して、黄緑色のジャージは昨日洗濯をしたばかり。日焼け止めクリームはばっちり塗ったし、髪のウェーブだっていつもより綺麗にかかっている。




さて、今日も私は雷門中サッカー部マネージャーとして、精を出す。









「…なんだか音無さん、今日は気合い入ってるわね」
「今日はなんだか、いいことが起こりそうな予感がするんです」



秋は、ニコニコ上機嫌な春奈を見て微笑んだ。


「素敵ね、そういうの」



にこにこ。



秋の笑顔が、春奈はとても好きだった。いつも隣にいて、笑ってくれる優しい秋に、春奈はいつも感謝している。


マネージャーになったばかりの時も、秋にいろいろ教わったし、だいぶお世話になった。それは、新聞部だった春奈をさらに成長させてくれることばかりで、たくさんのことを秋から学んだ。


マネージャーになってから、夏未も加わったけれど、夏未は理事長代理としての仕事が忙しそうでなかなか部活に顔を出さなかったので秋より会う機会も話す回数も少なかった。だからなおさら、秋と一緒にいる時間が長い。長く感じる。




「木野先輩、」
「なあに?」
「いつもありがとうございます」
「こちらこそ」




こうしてまた笑ってくれる秋に、春奈も笑顔で返す。


赤いフレームの眼鏡よりも、綺麗な黄緑色のジャージよりも、日焼けよりも、ヘアスタイルよりも、今、この時間を、大好きな時間を、秋と共に過ごしていることが何よりも大切。






さて、今日はまだ素敵なことがありそうだ。




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