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▼ モテたら影山が拗ねた

はろー、神様。お元気でしょうか?正直日本の神様って山ほど居すぎて分からないけど、挨拶は大事だと思うので文化は違えどアメリカ方式の挨拶を使用してみました。
自慢になるかは分からないけど聞いてほしい。昨日の夕方をもちまして告白された回数が何と十を超えました。ぱちぱちぱちー!
確かに顔は悪くない方だと思うし、性格だって悪くない方だと思う。自意識過剰野郎かケッ!とか思った君も多分自分自身の価値観はそこそこ良いほうだと思ってるだろう。それと同じだ。よって自意識過剰とは少し違う。妥当な判断だろうと思うのだ。
昨日告白してきた子だって本当、何人が彼女の彼氏になりたいと思ったか分からない位に可愛らしい女の子だった。赤い顔で手を胸元で握りしめて、軽く上目遣いでこちらを見る彼女は目の保養になる。でも、うん。流石に受け入れるわけにはいかず、申し訳ないけどお断りさせてもらった。理由は簡単である。


「相手が女の子で、私も女だからだよ!」

「苦労してんな」

「もう少し興味持って!」


いや、女の子が女を好きになるのが悪いと言ってるわけじゃない。ただ私は女の子と付き合うのはちょっと無理かなぁと思ってるだけであるから、私じゃない子を探してください。
親からとある劇団に入ったらスグに一番になれそうだなとか言われたこの顔が憎い。誰の顔が男役だバカヤロー!
私の前の席に座り紙パックのジュースを啜る影山は興味無さそうに相槌を打っていて、その適当さ加減に悲しくなる。ちょっと、お友達が凹んでるんだから慰めの言葉とかないのか。


「一回付き合ってみりゃいいんじゃねぇ?」

「影山ホント馬鹿だね」

「ンだよ」

「それ私が影山に男と付き合ってみればいいって言ってるようなもんだからね」

「…悪かった」


思いつきで言葉を発したのがすぐに分かる。あと本当にどれぐらい興味無いのかも。悲しい。
ため息をこぼして机に頭を伏せれば少しだけ慌てたような声が聞こえたけど無視する。興味が無いならほっとけバカゲヤマ。
同性に好かれるのは嬉しいけれどそれは恋愛感情抜きであって、友情メインでお願いします。どうしてこうなった。


「そんなに凹むぐらいなら呼び出されても行かなきゃいーだろ」

「女の子が勇気を振り絞ってるんだよ?行かないなんてそんな酷いことできない」

「…そーかよ」


ムッスリと頬杖をついてそっぽを向いた影山。あれ?怒ってる?何で?今度はこっちが慌てる番だった。声をかけても口を効かないどころか視線も合わない。怒らせたいわけじゃなかったのに、というかなんで怒ってるのか。男子高校生って難しい。


「影山?」

「…」

「かーげやーまー君」

「うざい呼び方すんな」

「あぁん?」


反応はあったけど不機嫌なのは変わらず、小さく気づかれない程度にため息。今にも頬を膨らませそうな、運動部にしてはやたら綺麗な肌を指でつついてみる。思いっきり払い除けられた。痛い。


「影山、」

「…何だよ?」

「もしや私のことが好きだったりする?」


適当なことを言ってみた。いや何も反応しないからいっその事ガツンと怒られた方がいいかなと思ったんだけど、どちらにせよ反応がなかった。ため息をこぼして影山へと顔を向ければ、陽の光とは違う真っ赤な顔をしていて。あれ、何この反応?


「え、図星なの?」

「…悪いかよ」


そっぽを向いた影山のその嘘偽りのない表情。釣られて私も顔が赤くなるのが分かって、思わず机に突っ伏したのは仕方ないことだと思う。これからどうやって影山と顔を合わせればいいんだ。


□二周年記念



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