plan | ナノ


▼ 二双の壁

▽ネロ・クラウディウスside
奏者達が二人揃っているのは実に目の保養になる。もう、ぎゅっと抱きついて頭を撫でてもらいたい程に素晴らしい光景なのだ。そこになまえを加えるとしよう。柔らかな春の陽だまりのような優しい笑顔を浮かべて奏者達の話を聞くなまえは、奏者達にとって母であり姉のような存在であるのだろう。正直な所、なまえには余が眠るまで抱きしめながら頭を撫でてほしい。奏者の手も勿論替えの利かぬ大切な、たーいせつなものではあるが、なまえには今よりももっと撫でて欲しい。奏者達がなまえの前で通せんぼするからあまり撫でてもらえぬのだ…。奏者の大切な人だというのは分かるが、余もなまえが好きなのだぞ!?


「ネロはなまえに構ってもらうと寝るまで手を離さないからダメ」

「俺と白野となまえの時間が減る。ダメ」

「なぁにぃがぁ、ダメなのだぁ!」


寝るまで手を離さないのは悪いとは思ってはいるが、そこまで頑なにならなくても良いではないかぁ!両手でバツを作る奏者達の後ろでなまえが困ったように笑っている。ぐぬぬ、と唇を噛み締めていればそっと手が伸ばされた。間髪入れずにその手を掴む。奏者達の驚いたような顔を視界の隅に、ばふりと柔らかい体に包まれる。うむ!やっぱり良いものだ!


「ネロの時間もとってあげないとね」

「なまえダメ。甘やかしちゃネロのためにならない」

「ここは間をとって俺を抱きしめるべきだ」

「どこら辺が間なのだ!」


なまえの服を掴んで気をひこうとする奏者達の狡賢い事。せっかくなまえから抱きしめてくれたのだ!いくら奏者と言えども譲らぬぞお!



▽玉藻の前side
なまえ様は御主人様方の良妻賢母を自負する私の目の前に現れたライバル…なんて事は無かったのであります。御主人様方が私の夫であるならば、なまえ様は所謂私の妻と言ったところでございましょうか。何を言いたいのかと聞かれましたらこう答えましょう。御主人様方には尽くしたい!なまえ様には尽くされたい!もう何ですかあの常に穏やかな笑顔は!御主人様方を見るあの愛情に溢れた優しい笑顔なんて、はぁっ!堪んねぇ!私もあの笑みで背中を支えられたい!守りたい!あの笑顔!


「しめた!御主人様方がいらっしゃらない今が絶好のチャーンス!なまえ様ー!タマモをお婿さんにしてくださいましぃ!」

「わぁっ、熱烈なハグだ」


飛びかかる勢いで抱きつけば、僅かに体勢を崩しながらもしっかりと抱きしめてくださるなまえ様。筋力具合が如何程か分かる。クスクスと楽しそうに笑うなまえ様の輝き。ベッドがあれば即☆インです。


「「ガンド」」

「ああっ!?なまえ様を狙わない完璧な狙い撃ち!?」

「目を離せばコレだ。なまえはサーヴァント誑しなのか」

「でもそんななまえが私も白野も好き。後で麻婆豆腐食べたいなぁ」

「私も白野好きだよ。勿論タマモも。今日の晩ご飯は麻婆豆腐だね」


崩れ落ちる体を抱きしめてくれるなまえ様が大好きで御座います。なまえ様お嫁さん計画は続行デス!



▽無銘side
マスターの母。というよりは姉の方が相応しいだろうと思う。実際、年齢的にも彼女とマスター達の差はそこまで離れてはいないだろうし、落ち着いた表情が多い彼女も年相応に照れたり焦ったりする事もある。自慢になるだろうが、セイバーやキャスター、それからマスター達よりも彼女の事をよく理解していると思う。料理上手な彼女が実は玉葱が苦手だったり、洋菓子よりも和菓子の方が好みだったり、男性からの直球な言葉には弱かったりと数えれば多い。ちなみに最後のものは忌々しい事にランサー情報で、座に還れと弓を取ったのは記憶に新しい。


「味付けはこんなものか?」

「あ…んー、うん。丁度いい感じだね。流石アーチャー」

「お褒めに預かり光栄だ」

「ぐぬぬ、ナチュラルにカップルでよくあるあーんをしてるな白野」

「うぬぬ、料理の邪魔だけはしないと決めてたけどこれは看過できなくないかな白野」


なまえと二人キッチンに立つのはまるで新婚夫婦のような雰囲気ではあったが、マスター達からの突き刺さるような視線が些か空気を壊してきていた。やるなマスター、だが引かんぞ。


「サーヴァントならマスターのいう事は聞くべきだと」

「ならサーヴァントの助言にも耳を傾けるべきではないかね?」

「ええいまどろっこしい!私達の言い分には従うべきだアーチャー!なまえから離れて!」

「承諾しかねるな。地獄に落ちろマスター」

「麻婆豆腐も杏仁豆腐も美味しく作るから待ってて欲しいなぁ」

「「ザビっと任せて」」


いつかしたような会話の応酬に終止符を打ったのは矢張りなまえで、決めポーズらしきものを二人同時に決めて大人しく座って待つマスター。二人の口に飴玉を放り込みながら柔らかく微笑むなまえは、どう見ても子持ちの母であった。結婚しよう。


□150,000hit記念



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