▼ ゾルディック家末妹は帰れ…?
怖いピエロに拉致されクロロ兄ちゃんと再開してから数日。あれから私はまたもピエロに連行されて色んなところを連れ回された結果、無事にキルア兄ちゃんと再会することが出来た。始めはお説教だと怒ろうとしていたキルア兄ちゃんも、私が歓喜に咽び泣くのを見て優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。ごわ゛がっだよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!
「おい、なまえになんかしたのか」
「やだなぁ、ちょーっとハグしたり膝の上に座らせたりしただけじゃないか!ボクにしては堪えた方デショ」
「お?どこも堪えた所がねぇな?」
「ずびっ、ぜったい、イルミ兄ちゃんに、おこってもら、ん、だからなぁ…!」
「えー、イルミにはもう既に殺されかけてるからやめてほしいなァ?」
「い゛ーーーーっ!!!アホピエローーーー!!!」
「そーんな悪いこと言う子はボクがしまっちゃおうネー」
「にぎゃぁぁぁぁ!!!!」
悪意のある笑みを浮かべて両手を伸ばしてくるピエロに、叫び声を上げながらぎゅむっとキルア兄ちゃんに抱きついた。キルア兄ちゃんに怖いんなら煽るなと軽く頭を小突かれてとても解せない。私は正当な理由の暴言を吐いただけなのに。スンスン鼻を鳴らして唇を尖らせる。
「おうちかえる…」
「親父のことはもういいのかよ」
「どうでもよくなった…。キルア兄ちゃん帰んないの?」
「あー、俺は帰らないかな」
「じゃあ一緒にいく。キルア兄ちゃんの邪魔しないようについてく」
「ヒソカお前ホントに何したんだよ。こんな甘えたなまえとかひっさしぶりに見たんだけど」
「何って言えばナニかな?」
何か言葉の言い方が違った気がする。気の所為かな。キルア兄ちゃんを見上げても訝しげにピエロを見てるだけだし、ちょっと噛んだとかそんな所だろう。
キルア兄ちゃんの反応が無かったのが意外だったのかつまらなかったのかは知らないけど、少し残念そうに肩を落としたピエロは「今のイルミには秘密ネ」と訳分からんことを言う。秘密にしてやるものか、大っぴらに公言してやるわバカヤロー!あのピエロ無理矢理ハグしてきたり、膝に座らせたり、挙句の果てには肩車だってされたんだぞう!その度にボコスカ殴ったけど全然効いてる様子が見られなくてちょっと凹んだ。私これでもゾルディック家なんだけどなぁ…。あの体ゴムで出来てんじゃないか。私が弱いとかそんなことでは無いと思いたい。
「本当に帰らなくていいのか?」
「キルア兄ちゃんと一緒がいい」
「はぁーーーーー…カワイ…」
「なんて?」
「お兄さんには言ってくれないの?」
「面を下げよ!!!!」
ぎゅっと抱きしめてくれるキルア兄ちゃんにほくほくしてたら、顔を寄せてきたピエロに台無しにされた。空気読め!今兄妹の良いシーンだったでしょーが!
抱きしめられながら威嚇しているにも関わらず、ピエロは動けない私の逆手をついて頬をつついてくる。きぃっ!目線が合わないからってしゃがみこんでる所が余計に腹立つ!今に見てろよ!世の男どもが振り向くようなバチバチの美女になってやるんだからなぁ!!!
「イルミも言ってたけど、なまえはそのままで十分可愛い女の子だヨ」
「可愛いは作れる。美人は作れない」
「メイクで作ってあげよーか」
「えっ」
「揺れてんじゃねぇよ」
思わず期待を含む声を上げてしまえば直ぐにキルア兄ちゃんにデコピンされた。痛い!ゴスッて音した!なんか額から出ちゃいけない音した!デコピンじゃないような音した!額を抑えてじわじわと目が潤むのを実感していれば、気付いたキルア兄ちゃんはよしよし額を撫でてくれる。やった本人もどうも私を甘やかしたいらしい。良きにはからえ!今なら私のおてても暇してるよ!お得だよ!ブラブラさせてアピールしてたら何故かピエロが反応して握ってきた。に、握り潰される…っ!
「あわわわっ、私のおててがさよならバイバイしちゃう…!」
「あ、おいコラ、勝手に妹に触ってんじゃねぇ」
「小さい手だネ。ちょっと力を入れただけでポキッて言いそう」
「やってみろ。十倍返ししてやる」
「それも楽しそうだ」
「あばばばば、煽らないでよぉぉぉ」
鋭い目力でピエロを睨むキルア兄ちゃんに肝が冷えるとはこの事。キルア兄ちゃんに害が無くとも、私に被害が出るんだからなぁ!痛いのは嫌だよ!痛いのはおうちの修行だけで十分だよ!ニヤニヤすんじゃないピエロぉぉぉ!
「冗談だヨ。カワイイなまえにボクがそんなことするわけないだろ?」
「信用性の欠片もないの分かってるのかこのピエロは…」
「でもやわっこくて気持ちいいから暫く手を繋いでおこうネー」
「最悪片腕だけでも生きていってやるぅぅぅ」
「そうなったら俺が世話してやるよ。兄ちゃんとずぅっと一緒にいような」
「兄ちゃん暫く見ない間にヤンデレなんて発症したの?」
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