■ エイプリルフールと三騎士

「アロハー!セイバー!」

「こんにちはなまえ。今日も元気ですね」

「ふふーっ!セイバーもいつもと変わらずカッコイイ!」

「ありがとうございます。結婚しましょう」

「その事なんだけどね」

「おや、漸く真剣に私の話を受けてくれますか」

「聞いてセイバー」

「はい」

「私、お付き合いしてる人がいるんだよね」

「……」

「だからセイバーとは結婚できないんだ」

「……」

「皆に報告しないとと思って、一番親しいセイバーから話そうと思ってね!」

「……なるほど」

「うん」

「なまえはその者が誰よりも好きだと?」

「うん」

「脅されているわけでは」

「ないよ」

「……分かりました」

「お?」

「その方に伝えておいてください。『夜道には気をつけろ』と」

「突然の死刑宣告」

「大丈夫です。なまえには危害を加えません。安心してください」

「ちょっと待って安心できない」

「遠慮なく叩き斬ります」

「よーし、一旦休憩入りマース!」



「ボンジュール、アーチャー!」

「Bonjour、なまえ。走って来るのは構わないが転けたりはしないでくれたまえ」

「私の事を何歳だと思ってるのかな!?」

「見た目は大人、頭脳は子供と言った所か」

「最悪だ!」

「それで息を切らせるほど早く伝えたい要件があったんだろう?」

「そう!聞いてアーチャー!」

「ああ、どうした?」

「私に彼氏が出来たんだよ!」

「………………、ほう?」

「もう、本当に嬉しい。泣きたいぐらい幸せだ」

「君が泣けばセイバーやランサーが煩くなるぞ」

「この男の影もなかった私に、遂に彼氏が出来たんだよ!凄くない!?」

「その言葉には流石に突っ込みどころがあり過ぎるが今は流しておこう。おめでとう、なまえ」

「えへへー」

「さて、なまえ」

「うん?」

「その男性の容姿を詳しく、事細かに教えてもらおうか?」

「何だろう。教えていい筈なのに教えたら最後だと思ってしまうこの感じは」

「ハハッ、横から掠め取られるのはどうも気分が悪いからな」

「あの、つかぬ事をお聞きしますが、聞いてどうするんでしょうか?」

「無論君の事について話し合い(物理的)に行くだけだとも」

「聞いちゃいけない部分が聞こえた」



「アンニョンハセヨ、ランサー!」

「おう、何の魔法だそりゃ?」

「挨拶だよ馬鹿」

「犯すぞ」

「もう言動が犯罪者だよランサー」

「まあそれは置いとくとしてだ。何か用だったか?」

「うん。まあ大した用事じゃないんだけど。用事っていうか報告みたいなものかな」

「へえ、良い知らせか悪い知らせのどっちだ?」

「勿論良い知らせに決まってる!」

「聞かせろ」

「私に彼氏が出来た!」

「悪い知らせじゃねぇか馬鹿」

「な、何を…これのどこら辺が悪い知らせなのかさっぱり分からない」

「それ本気で言ってんならなまえには仕置が必要だよな」

「えぇ…、ごめん?」

「何に謝ってんのか分かってねぇなら謝るな」

「ごめんなさい」

「くっそ、可愛いな。んで、誰だよその男は。セイバーか、アーチャーか?」

「どっちでもないけど」

「はぁ?」

「え、何?」

「どんな経緯があろうと最悪だとしか言えねぇが聞くわ。何処で知り合ったんだよ?」

「ついこの間この街に来たって人に一目惚れされて付き合うことになったよ!」

「最悪。お前そんなぽっと出の男と付き合えるぐらい尻軽だったか?」

「もしやランサー、凄く怒ってる?」

「なまえを抱き潰して、野郎を殺したいぐらいには怒ってるな」

「死ぬほど怒ってるね」



「嘘だけどね。エイプリルフールでおじゃる」

「なまえは嘘の内容をもっと考えるべきだと思います」

「え、結構メジャーな嘘だと思うんだけど…」

「ついていい嘘と、ついてはいけない嘘ぐらいは把握するようにしたまえ」

「いや、あの、結構分かりやすい嘘だと思う…」

「どっちにしろなまえは躾直す必要があると思うがな」

「ランサーに躾られた覚えがない」

「ランサー、たまには良いことをいいますね」

「癪だが、確かに良い考えだとは思うな」

「つーわけだ、覚悟はしとけよ」

「身の危険を感じる」


2017/04/01