■ 猫の日と三騎士

「猫の日と聞いてっ!」

「なまえのそのイベント脳どうにかなんねぇのか」

「ふふん。それはこの国の語呂合わせ大好きな奴らに言ってくれねばな!」

「ンだよその口調。…で、何するんだよ?」

「ここに猫耳カチューシャなるものがあります」

「ほう」

「ここに一眼レフがあります」

「で?」

「撮ります」

「それ着けたなまえを撮りゃいいんだな?」

「バッキャロー!猫耳着けたランサーを撮るんだよ!いよっ!クランの猛猫!」

「猛犬と言われたことはあっても猫と言われた事ァねぇがな」

「猫も犬も一緒でしょーが」

「お前ホントそういう愛好家に殺されるぞ。殺させねぇけど」

「やだ、好き……トゥンク」

「よし、式挙げるぞ」

「だが断る。猫耳着けて写真撮らせてくれたら考えてやらんこともない」

「貸せよ」

「チョロい」

「ンなもんで嫁に来てくれんなら安いもんだろ」

「王様と神父様に見せに行こう」

「コルァ、それとこれとは話が違ェなぁ?オイ?」

「撮ったら誰かに見せるでしょ」

「だからって何でアイツらなんだよ」

「で、着けるのか着けないのか」

「……それ三つあんだろ」

「何故わかったし」

「なまえも着けて一緒に撮るんなら文句はねぇ。一枚寄越せよ」

「究極の選択」



「ハッピーニャンニャンデー!」

「おや、可愛らしい猫さんが来ましたね」

「あううう、セイバーのその自然と抱きしめてくれる所ほんと好き」

「そうでしょうとも。私もなまえを愛していますから」

「クッ!このトキメキに負けてはならぬ!セイバー猫耳着けてくんない?」

「ええ、なまえの頼みとあらば」

「ちょ、即決…。騎士様それでいいのか」

「なまえの前では騎士なんてかなぐり捨てましょう」

「アカンやつや。それ絶対かなぐり捨てたらアカンやつ」

「ふむ、……何というか、恥ずかしいですね」

「かんわいいいい!」

「なまえの手元から発光が消えない…」

「似合うとは思ってたけど、まさかこんなにも似合っているとは」

「そうでしょうか?私はなまえも似合うと思いますが」

「おおっと、煽ててもダメだぜ。私は着けない。ランサーの時は仕方なかったけど、私が着けても惨めな思いにしかならんかったからな!」

「えい」

「なんて事をっ!?」

「ああ、ほら、やっぱり可愛いですね」

「あ、う、そんな、そんな目で見られても…」

「流石私が好いた女性です」

「撃沈」



「にゃんにゃんにゃん、デー!」

「録音はバッチリだ」

「貴様何をしている捨てろ」

「了承しかねる。安心しろ、私以外聞く者はいない」

「安心できない。まあいいや」

「君のその諦めの速さは見習うべきかと思ってしまうな」

「アーチャー、猫耳着けて写真撮らせてー」

「……ふむ、いいだろう」

「予想外の反応。いいのか!?」

「ああ、なまえの好きにしてくれ」

「ちょ、言い方」

「青、黄、白…。見事に頭髪を意識したラインナップだな」

「やっぱり色は合わせないとと思って」

「用意周到だな。なまえは着けてはいないのか?」

「ランサーの写真撮る時に着けたけどね。凄いの。似合わない。自分でもビックリした」

「ランサーの反応は?」

「『十分興奮できるから安心しろ』って」

「アイツは本当にとある狐耳のキャスターに去勢されるべきだな」

「まあそれはいいんだよ」

「君の貞操観念に繋がる話なんだがな」

「一先ずアーチャーの猫耳写真を撮るのが優先だ」

「はぁ…。好きにしろ」

「……わぁ、なんて言うかやっぱり三人とも似合いすぎだろどうなってんだ」

「そうか。ところでなまえ」

「なぁに?」

「猫の発情期間というものは知っているか?」

「不穏な気配を察知」



「させるかァ!何俺より先に手ぇ出そうとしてんだ!」

「君より後なら問題ないのか?まあそれは看過できんが」

「巫山戯んな。先も後も俺だけで十分だ。引っ込んでろ」

「同じ言葉を返そう」

「ランサーよりも要注意人物かも知れませんね」

「人聞きの悪いことを。セイバー、据え膳食わぬは男の恥と言うだろう」

「ここぞとばかりにこの国の言葉を使って…!」

「ハハッ、もとよりこの国の出だからな」

「一々腹立つ野郎だなぁテメェは」

「私はランサーの節操のない所も腹立たしいですが」

「まあ、同じ人を好いた者通しだ。腹が立つのも当然だろう」


2017/02/22