■ ポッキーゲームと三騎士

「セイバー!ポッキーゲームしよう!」

「食べ物を粗末にするとは何事か!」

「ひぇっ」

「え、あ、なまえ!?すみません!この前金ピカが五月蝿かったですから、つい…」

「うん。大丈夫。ちょっとビックリしただけ」

「すみません…」

「あー!セイバー!違う違う!ポッキーゲームしようって思って来ただけだから!」

「ポッキーゲームですか?ですが日にちはもう過ぎているのでは」

「忘れてた」

「なまえは忘れんぼうなんですから…。いいでしょう、ポッキーはちゃんと持っていますか?」

「セイバーは私に対して甘過ぎると士郎君が言ってたのがよくわかる。バッチリ準備済みだよ!」

「ではその前に」

「?」

「私と約束してください」

「何を?」

「アーチャーとランサーには絶対にこの話をふらないと」

「彼氏でもない男の人とポッキーゲームをする勇気が私にあると思うのか!」

「なら安心です」

「……セイバーがポッキーをくわえて待っているだと?」

「なまえから食べ進めてください」

「美少女に誘われた。私が女でも何か変な気持ちになる。ドキドキする」

「それが恋です」

「恋なのか!」



「アーチャー!私はどうやらセイバーに恋したみたい!」

「……変なものでも食べたのかね?」

「失礼な。セイバーとポッキーゲームしたら物凄い心臓が騒がしかったんだよ」

「ポッキーゲーム…」

「セイバーに理由を聞いたらそれが恋だと」

「下心がありありと見えるセイバーは久方ぶりに見るな。いやなまえに対してはいつも通りか…?」

「ん?」

「気にするな。それで、ポッキーゲームをした結果はどうだったのかね?」

「流石にちゅーまで行かなかったよ。私の何かがそこまでにしておけよと言ってたから途中で折った」

「そうか。安心した。して、私とポッキーゲームをする気は無いのか?」

「セイバーと『アーチャーとランサーにはポッキーゲームをするな』って約束しちゃったんだよね」

「ほう?セイバーが先手を取りに来たか」

「だからしない!」

「残念だ。君がゲームに勝てばなんでも好きな料理を振舞っていたのだがね」

「勝負だアーチャー!」

「君のその単純な所は至極好ましく思っている」

「私チョコの方から食べたい」

「ああ、君の好きなようにしてくれ。それで、心臓の方はどうかな?」

「……凄く、五月蝿いです」

「恋だな」

「私凄い浮気性だな!?」



「聞いてランサー!私、セイバーとアーチャーに恋してるみたいなんだ!どうすればいい?」

「あー、二人を諦めて俺と付き合えば丸く収まると思う」

「修羅場の予感」

「何でそんな考えに至ったんだよ」

「二人とポッキーゲームしたら心臓が物凄い騒がしかったんだよ。理由を聞いたら二人とも恋だって言うから」

「なまえスゲェ浮気性だな」

「私も思った」

「にしてもポッキーゲームなぁ。日にち過ぎてんぞ。遅刻ってやつだろ」

「いいんだよ!ポッキーゲームが11月11日にやるだけのイベントだと思ったら大間違いだ!」

「ホントなまえのそーいう馬鹿みてぇなとこ好きだわ。で、セイバーはともかく野郎とキスしたか」

「してないよ!どっちともしてないよ!あんな端正な顔立ちの二人にちゅーできるわけないよ!ランサーとはしない!セイバーの約束を悉く破っちゃ問題があると思う」

「はぁ?アーチャーとはして俺とはしないとかそりゃねぇだろ。オラ、口開けろ」

「ああああ!そんな無理矢理…っ!」

「じっとしてな。優しくしてやっから」

「もう既に優しくない気がする!」

「何だよ。手荒なのが好みか?俺もそっちのが興奮するけどな」

「んんん!顔を抑えるな!パンピーに!しかも女の子に筋力Bを発揮するなぁぁぁ!」

「こっちでは確かこう言うんだったよな?」

「?」

「いただきます」



「お粗末様でしたっ!」

「っぶねぇな!何しやがる!なんだその口調!」

「いやなに。いただきますと言うから終了の言葉を返してやっただけだが」

「まだ手もつけてねぇよ!」

「させると思うのかね」

「セイバー!ごめんなさいいいい!約束破っちゃったよおおお」

「いいえ、大丈夫です。私は知っています。一人には言いくるめられ、一人には無理矢理…その罪は彼らにあります。万死に値する」

「え、万死?」

「…君の所為だぞ。私まで巻き込まれてしまった」

「元はテメェが先に手ェ出したんだろうが。あれ使えよ。熾天覆う七つの円環だったか」

「使うのは吝かではないが、貴様を庇う気は無い」

「二人称が荒れてきてんぞ」

「喧しい」

「話はつきましたか二人とも。全力を以てその罪贖うがいい」

「ちょ、セイバーまた士郎君に怒られる…」

「なまえのためだと知れば、士郎も黙認してくれるので大丈夫です」


2016/11/18
「熾天覆う七つの円環」
「戦闘続行」
「チィッ!火力が足りませんか!」
「セイバー!そんな連続して使おうとしなくていいから!」