■ 海開きと三騎士

「青い空!」

「白い雲!」

「すいか!」

「ビール!」

「出会いの季節だ!」

「ナンパの…待て、」

「新しい水着だ!」

「ビキニかワンピースか大事なことだが待て」

「今年はパレオだよ!」

「そりゃいいな。…じゃねーよ、待てっつってんだろ」

「もう何?せっかく気分も上がってきてたのに」

「気分上げるのもいいけど、出会いの季節ってなんだ。目の前にいんだろうが」

「ランサーもナンパの季節って言おうとしてたじゃん。あとランサーはほら、違う」

「てめ、違うってなんだ。半神半人が口説いてんだぞ、なまえもいい加減覚悟決めて俺の所まで落ちてこい」

「ごめん、現代と昔の恋愛経験が違いすぎて無理」

「日本にも似たようなのあっただろ。アレだ、正妻ってやつ」

「正妻だとしても愛人やらなんやら何人も作られるって分かってるからホイホイOKできない」

「バカ、そこは正妻らしく振舞えや」

「ほらっ!愛人とかそこら辺に関して何も突っ込まない!無理無理!現代人は一途が好きなんだよ!」

「喚くなって、冗談だ」

「冗談に聞こえないからね?あと海開きの話だからね?話の修正大変なんだからね?」

「んで?誰と行くんだよ」

「セイバーと凛と桜とライダー」

「……物の見事に男がいねぇのな」

「女の子だけでも十分楽しいし」

「次は俺と二人で行くか」

「ランサーがちゃんと私だけ見るならね」

「…お前ホント前から思ってたけど、男心くすぐんの上手いよなぁ」



「今年の海楽しみだねセイバー!」

「ええ、水着を着るのは少し恥ずかしいですが、楽しみです」

「当日は桜と私がお弁当作るけど、何かリクエストとかってある?」

「なまえが?」

「あ、う、ちょっと自信ないけど頑張るから」

「あ、いやっ、違います!」

「料理は苦手な方だけど、桜が手伝ってくれるし」

「なまえっ、聞いてください」

「セイバーも桜が作った方食べてくれたらいいよ!」

「なまえ!」

「ひぇっ」

「私はっ!なまえが作ったお弁当が食べたいんです!」

「わわわわかった!」

「前回も思いましたが、なまえは自己評価が低いと思います」

「ううん…。そうかなぁ」

「はい。謙虚なのは日本人らしく素晴らしいものだと思いますが、なまえはもう少し自信を持って欲しい」

「頑張る」

「いい子です」

「ふへへ。頭撫でられちゃったぜぇ」

「…なまえ、その顔は海に行った時にしてはいけませんよ」

「んんん?」

「そのへにゃへにゃな顔。周りの不埒な男性が見たら寄ってくる輩がいると思いますから」

「へ、へにゃへにゃ…。でもセイバーに撫でられるの好きだから、その時は許して欲しい」

「……なまえ、」

「うん?」

「好きです」

「私も大好き」



「海開きだよアーチャー!」

「ああ、凛に聞いた。セイバーと間桐桜とライダーと凛となまえの五人で行くんだろう」

「アーチャーは連れていけないよ!」

「それも聞いているし、ついていこうとも思わないさ」

「アレ、意外な反応…?」

「君は私をなんだと思ってるんだ」

「だってランサーが『アイツは絶対ぇ影から見てる』とか言ってたから」

「すまないなまえ。犬を一匹処理するという急用ができた」

「どどど動物虐待だす!」

「吃ってるぞ。なに心配するな、犬は犬でも二足歩行の青い犬だ」

「ランサーのピンチ。でも助けない!それでねアーチャー」

「君のそのサッパリを通り越してザックリした性格、素晴らしいと思うよ」

「もしもの話、私たちを見るんだったらついてきて欲しい」

「連れていけないと言わなかったか?」

「だって可愛いじゃん。凛も桜もセイバーもライダーも」

「まあ、確かに可愛い部類に入るんじゃないか」

「海に行って、水着に着替えて、男の人も連れずに歩いてたら格好の餌食になるでしょ?」

「……なるほど」

「海でチャラチャラしてるだらしない輩に絡まれるなんてありえない。何が何でも阻止する」

「君が阻止するのか」

「セイバー達がどこの馬の骨かもわからない男に盗られてもいいというのか!」

「私はなまえも心配だが」

「セイバーにも同じような事言われたなぁ」

「私も質の悪い輩がなまえに声をかけると思うと、正直なところ虫唾が走る」

「ううん?私じゃなくて、セイバー達のことだよぉ」

「ああ、わかっている。凛達にも同意が得られたら、私も同行させてもらうさ」



「しれっと同行許可されてんじゃねーか!」

「私とライダーがいれば大丈夫だと言って聞かせたのに…」

「後押ししたのはランサー、貴様だろう」

「ありえねぇ!幻滅されると思ったのに!」

「ランサー、余計なことを…っ」

「待てって!この場合俺じゃなくてアーチャーを狙うだろ!?」

「ハハハ、クラス相性というものがあってな」

「ここでゲームの話を持ち込んでくんな!」

「どうあれ、元凶は貴方だ!案ずるな、あなたを倒した後でアーチャーも共に散る」

「安心できる要素がねぇんだけど」

「それは困る。こちらも全力をだそう」

「『約束された勝利の剣』!」

「『刺し穿つ死棘の槍』!」

「『無限の剣製』!」


2016/07/06
「セイバー、宝具の使い方には気をつけろって言ったじゃないか」
「すみません士郎…」
「ランサー、無駄に宝具を使用するな」
「うっせぇ言峰!」
「アーチャー、私にも多少の負担はあるんだから使用には気を付けてちょうだい」
「ああ、すまない。次は断りをいれよう」