気づけばもう年末になっていたなんてよくあることで、今年は特に早かった。俺の場合、目の前を皇帝ミハエル・シューマッハ(又はアイルトン・セナ・ダ・シルバでもいい)がフォーミュラカーに乗って通り過ぎてくぐらい早かった。

「クリスマスイヴじゃね」
「うん。何その顔きもい」
「いや何かいいなぁと」
「ばか」

はらはらと雪が舞い降りる。所謂、ホワイトクリスマスというやつだ。

「凍りそう」
「とかしてちゃるよ」
「笑えない」

仁王の薄い唇が俺のそれと重なる。それだけでもう体中熱くなって、それこそ寒さなんて感じない。
そのうち、ぬるりとした舌が侵入してきて俺の舌をざらりと舐める。

「はっ…おまッ…しゃれになんねぇ…」
「えーいいじゃろ別に」

再び唇が重なる。
舌同士が絡み合っては離れを繰り返す。
やがて離されたそこからは名残惜しげに糸がひく。

「メリークリスマス」
「うん」
「フォーユー」

小さな、赤いリボンで飾られた箱を渡される。

「開けていい?」
「どうぞ」

ゆっくりとリボンを解き、箱を開けると、可愛らしいブレスレットが入っていた。

「これ、」
「前、欲しそうにしてたじゃろ」
「嬉しい」
「そりゃよかった」


どちらともなく自然とまた唇を合わせた。


Very Merry Christmas