第七話 | ナノ 仁王が不意に俺の前髪をかきあげた。
「また髪伸びたな」
―――また。
こいつが俺に触れる度、俺の心臓も動く。
そして仁王も―――――、
近頃やけに真剣な眼差しで俺を見ることがある。
見る、というより、じっと…そう、何かの想いを込めてみつめてくる。
確かそれが俺の動機の始まりだった。
「やめろって」
仁王の触れる指先から、自分の不可思議な気持が伝わってしまいそうで手を払う。
そんなワケわかんない目で俺を見るな。
お前は何の気もないのかもしれないけど、
俺はそれに少なくともドギマギしてるんだ。
お前は何の気も…
いや、少なくともあるのか…な。