いつだったか、二人で決めていたことがあった。 『オーストラリアに行きたくねぇ?』 『オーストラリア、か』 『コアラだぜコアラ!俺、あいつともふもふするのが夢!』 『そうじゃな… じゃあ金貯めて二人で行こか』 なんて、6年も前の話をあの仁王が覚えてるはずもないだろう。 なんとなくケータイを開いて電話をかける。 きっと今は仕事中だから電話にでないだろう。それでいい。だって話すことなんてないから、出られたら出られたでそれこそ困る。ただ、履歴を残したかった。 『…もしもし丸井?』 いきなりの声に度肝を抜かれた。 |