騙し愛 通帳を見る度常々思うことがある。その台詞を脳内で己に騙された愚かな人間に吐き捨てては鼻で笑う。 ソファにゆったりと寄り掛かりながら、緩む口元をおさえた。 「馬鹿な女」 女は貢ぐだけ貢ぎ、俺はそんな女から金だけを盗むように、もう金がないとみたら何も言わずに出ていく。 しかし盗むといった表現は少し語弊があるかもしれない。 俺だってそれなりには恋人らしいことをしているんだから、給料ぐらい貰ったってどうってことないと思う。 そしてまた新しいカモを見つけようと街へ繰り出した。 暫く歩いても頭のきれそうな女しか出歩いていない。 しくった、と少し落ち込みながら足を遅めると、走って来た誰かと肩がぶつかる。 「ってーな!!前見て歩け白髪!!」 ゆっくりと顔を持ち上げ、相手を見遣ると学生らしき格好をした赤髪の青年がこちらを睨みつけていた。 背は低めだが、身に纏っている衣服やらアクセやらがブランド品のようだ。つまりどこかのお坊ちゃまなんだろうと瞬時に理解する。 「…あぁ、すまん」 「気をつけろよなー…って、あれ?」 たまたま手に持っていた財布を指差され、何かと思って目の前に持ってきたら「俺と同じのじゃん」と屈託のない笑みを向けられた。 「それたけーよなぁ…。小遣いはたいちまった」 「…そうなんか」 大袈裟に笑う彼を見て、新しいカモに最適だと思った。なんか本能的に。 そうして口説きにかかる俺に、彼はずっとにこにこと笑っていて、時々頬を染めるなどしていたが、 彼も俺と同じ企みがあるなんて露知らず、俺は彼に心を奪われることになる。 騙しあう愛 (騙されたのはどっち?) - - -アトガキ- - - かなり無理矢理だなぁ…;; 一ヶ月以上放置していて本当に申し訳ない… そしてこの出来である 残念にもほどがある…orz |