澄んだ青空の下、授業開始を告げるチャイムの音を聞きながら俺と仁王は仲良く授業を欠席していた。

「…さむい」
「あー、3月なのに今日超寒いよな」
「…さむい、ぶんちゃんさむい」
「あー、お前寒がりだもんな」
かたかたと小刻みに仁王の歯が音をならす。
それに若干いらつきを感じながら、ポケットからカイロを取り出した。
しかしそれは既に熱を失っていて、固くなっていた。

「あっやべ、これ昨日のじゃん。
超酸化してる」
「使えねー」
「ぶっころすぞ」

手に握っていたカイロを仁王に投げつけた。
「いたっ」という声が聞こえた気がしたけど、それはきっと幻聴だ。

「ぶんちゃんって子供体温」
「うるせー。低温火傷で死んでしまえ」

抱き寄せられて暖をとる機械の用に扱われるのがなんかムカつく。
でもなんとなく落ち着いて、微かに聞こえる仁王の心臓の音が心地よくて、もう少しこのままでもいいかと思ったそんな昼下がり。


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