「ほ?」
「ほ?じゃなか」

放課後、まだ出来上がっていなかった数学の課題をせかせか真面目にやっていたら仁王がイキナリ目の前に長方形の箱を差し出してきた。
赤いリボンで装飾してあるそれは、普通は彼女とかにプレゼントであげるやつみたいな感じ。俺彼女いたことないけど、ドラマとかでよく見るよ。因みに俺はテニスが彼女です、はい。…言ってて寒いなあ…。

「仁王、あげる相手間違ってない?俺へのあてつけ?」
「いや間違っとらんし。お前に」
「いまいち状況が理解できないです」
「いやいや丸井今日誕生日じゃろ」

その一言で頭に電流が走ったように覚醒した。
カレンダーをみると今日は4月20日。そう、ヒトラーの誕生日である。

じゃなくて、俺の誕生日。

「はいじゃ。コレ渡したかっただけじゃし」
「え、あ、うん」

机の上に置かれたプレゼントを見ながらお礼しなかったからメールしなきゃなとか考えた午後3時。