(AB型理系彼氏)
「俺さぁ…」
「うん」
「昔ペットに蛙飼っとったんじゃ」
いきなりのカミングアウトに驚愕し、勢いよく仁王の顔をみるが、彼はいたってしれっとしていて、瞳は明後日の方角を向いている。
手にしたバナナミルクの紙パックからはずぞぞぞぞ…とはしたない音を立て、ストローを口から出してからも尚無表情だ。
「な、何で蛙なんか…」
「ん?あー、いや…ちょっと」
「なんだよ気になるじゃんか!!」
食ってかかると仁王はこめかみを人差し指で軽くかき、俺に向き直る。目は真剣だ。
「ビビんない?」
「ヤバいことなのかよ」
「生類憐れみの令に反する」
「それ江戸時代だろ」
仁王は目を逸らし、あー…と呟いてから一つ咳ばらいをし、言葉を選ぶ様に目線を上にあげながら口を動かす。
「ちーっと解剖を、な」
「…え」
やはり俺の恋人、AB型理系男子は変人だ。
110601