バーカ | ナノ


サスケが日本を出て、ちょうど一年が経った。









時間はあっという間に過ぎていくけど、俺の気持ちは何一つ変わっていない。そればかりか、サスケへの思いが募るだけだ。1日たりともサスケを忘れたことはない。こんな乙女思考な自分を気持ち悪いとは思うが、未練がましい自分の気持ちの執着さの方がよほど恨めしかった。今はメールや電話も来ないし繋がらない。
あぁ、本当に、サスケの言うことを聞いていれば良かったんだ……
それならこんな苦しい気持ちなどしなくて済んで、メールや電話をしていたかもしれなかったのに。後悔しなくて済んだのに……
あの時空港で、飛行機が発つ直前にでもサスケを探し続ければ良かったんだ。もっともっと、サスケと居たかった……
…でもサスケは俺のこと本当にどうでもよくなったんだよな、だから………
思えば思うほど、後悔の念が沸き上がる。そんな自分をまた恨めしく思ってしまう。
「わっ!」
下を向いて歩いていたからドン、と道を歩いている人にぶつかってしまった。
「おいおいおい、そこのガキィ…誰にぶつかってんだ、おい?」
「え、あ、すみませ……」
肩にぶつかった人は相当怖そうな人。こういう外見からかガキっぽく見えるかもしれないが一応俺は成人してるし…。とは、心の中だけの突っ込みにしておいた。それにこういうガラの悪い人は正直慣れていた。
昔空手をやっていたし、よくカツアゲをされる度に返り討ちにしていた。が、騒ぎになるからあまりそういうことはしたくないけど仕方ないか…と、はぁ、とため息を吐いて顔を上げた瞬間、目の前の男は吹っ飛ばされていた。

「ぐはっ!」
「…?!」
俺がびっくりしている間に、絡んできた男は後退りをして逃げて行った。
「…たく、お前は昔からこういうのに絡まれるよな」
聞いたことがある声に思わず後ろを振り返ると、おそらくあの男を吹っ飛ばした人が立っていた。
「昔から気を付けろって言ってんのに」

……なんで。

「だから俺の周りには敵が絶えないって言ってんだろ」

なんで………。

「バーカ」


(どうして……)


なんで。
嘘だろ。
だってさ、…

「なんつー顔してんだウスラトンカチ」

そんなことあるわけないって、決めつけてたのに。