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「えーと…涼ちゃん?それはギャグで言ってるの?」
そう言われるのも無理はない。
私はオカルトなんて有り得ない、胡散臭いものは信じないというような人間だ。
けど、さっきのアレは間違いなく現実で。
でも陽菜は困惑したような顔で私を見ている。
信じていない、というような風だ。
人が急に消えるなんてあっていいはずがないというのに。
「恭ちゃん、やっぱり涼ちゃんやばいかも」
「だよな…こいつこんなワケわからねぇ冗談言わないよな…」
あまりにも失礼な言い様にカチンと来て
しゃがみこんでる恭平の脛をグーで殴り付ける。
思ったより痛かったのか悶絶しながら転がった。
そんな恭平を無視して陽菜はこちらに向き直る。
「あのさ涼ちゃん。やっぱり人が溶けるなんてのはさすがに」
「有り得ないことはないよ」
突然飛び込んできた落ち着いた声が陽菜の言葉を遮る。
声の方を見なくても誰か分かった。
「来たわねウサギ」
あの双子のウサギ達だ。
「猫の気配がしたから来てみたら君がいたのさ捜索者」
なるほど、猫に会ったようだねと言いながらエリルは腕を組む。
「り、涼ちゃん?そのウサギって…」
「あ、あぁ、今日話したでしょ?」
「ほんとに喋るんだ…」
すごい…と呟く陽菜の目が非常に煌めいている。
恭平はいつの間に復活したのか馬鹿みたいな顔をしてウサギ達を眺めている。
「あぁ、そこの君達にも僕らが見えるのかい。ならちょうど良い、少し自己紹介でもしようか」