人でごった返す休日の町。
家族連れやカップル、老夫婦など様々な人が通り過ぎていく。
その中をだらだらと歩いていく数人の若者。
その中の1人が向かい側から歩いてきた少女とぶつかった。
「てめぇ前向いて歩けよ!」
「あっ、す、すいません!!」
ぶつかられた若者は少女に怒鳴る。
「えっとあの、大丈夫…ですか?」
少女は顔を上げ恐る恐る若者に尋ねる。
そこで若者はぶつかった相手がなかなかの美少女だということに気が付いた。
「あーいてぇ、すげぇいてぇ。どーしてくれんの?」
「あの、すいません…。えっと、私に着いてきてくれませんか…?」
お詫びをしたいので…と言いながら俯く少女を見て若者達は下品な笑みを浮かべた。
そこで若者達は気付くべきだったのだ。
彼女の体格が女にしてはしっかりしていることと、少女の口元が笑みの形を浮かべていた事に。

「で?なにしてくれんの?」
若者の1人がそう少女に言う。
その顔は相変わらず下品な笑みを浮かべている。
彼らがいるのは、路地裏だ。
無論人など来ない。
「少し…恥ずかしいですが…」
少女は消え入りそうな声でそう呟くと着ているシャツのボタンに手を掛けた。
その様子をやはりにやにやと見守る若者達。
少女の手が3つ目のボタンを外し掛けたとき
「はーいストップー」
という声と共に若者達は全員地面に沈んだ。
「俺が上半身裸になってポカーンとさせる予定だったのに」
若者達の持ち物を漁りながら少女…男は傍らに立つ人物に文句言う。
「赤月のストリップショーなんてみても楽しくはないよねぇ?」
傍らに立つ少年…女が小さく笑う。
「ちっ、依頼主が取られたもんはあったけどよ」
全然金目のもんねぇなこいつらと男…赤月はぼやいた。「さすがに財布まで取られたら災難じゃないの?」
「俺の裸体を見ようとしたんだから貰っても罰は当たらねぇだろ」
「そういう問題?」
「当たり前だ」
赤月の言葉に女…椎葉はやれやれといった表情で未だ地面に伏せる若者達を見下ろす。
「しかし仕組んだこととはいえ、災難だよね彼らも」
「まぁそうだな」
赤月は被っていたカツラをばさりと外す。
「いい思いってのはなかなか出来ないってことだ」
ニヤリと笑った赤月に椎葉は珍しく同意したのであった。
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