捧げ物(都神ナナエ様) | ナノ




【月とは、地球の周りを回る天体で(地球から見て)太陽に次いで明るいそれである。】
西洋では神秘的なものとされ、月の女神と太陽の神は双子であるとされている。
とある国では収穫や自然の循環などに重要な役割を果たしているという。
一方で北欧では「妊婦は月を見てはいけない」などという伝承があるらしい。

「だからなんだってんだよ」
眼鏡を掛けた黒い髪の少女…祐未は大人しそうな外見とはそぐわない口調で月について語る男に答える。
月について語っていた男…テオは祐未の言葉を気にするでもなく小さく笑った。
仕事を終えた祐未は報告をしにテオの所へ来ていた。
一通り報告を済ませ部屋から出ようとしたらテオに呼び止められ、何故か月について語られたのである。
「お前…月の話する為だけにあたしを引き止めたのか?」
「そんなところだ」
ぎろりと睨みながら言う祐未に軽く答える。
「てめえ…!!」
がたんと音をたてて立ち上がる祐未にテオは、まぁ座れと椅子を指さした。
舌打ちをしてしぶしぶといった様子で座る祐未を見てくすりと笑いながら言う。
「お前の国にも月に関する話があっただろう」
「あぁ?かぐや姫とかそういうのか?」
祐未の返答に軽く頷いて話し始める。
「国や地域で月の神や伝承は違うんだ。例えば日本ではツクヨミが月の神という事になっている。西洋では神秘的なものとされてると同時に月が人を狂わせるとも言われてる。lunaticは気が狂ってるというのを表すしな。満月の夜に人狼は狼になり、魔女は黒ミサを開くと考えられていたんだ」
お前も狼男の話は知っているだろう?というテオの問いに祐未はめんどくさそうに頷いた。
「それに満月は衝動的感情と攻撃的感情と身体能力が高まるというから月が人を狂わせるというのはあながち間違いじゃない」
そういうとテオは立ち上がり窓辺へ近付く。
四角い空には淡く光る銀色の球体が浮かんでいた。
月の光にテオの銀色の髪が照らされる。
「なぁ、終わったんなら帰るからな」
祐未は椅子から立ち上がりぐっと身体を伸ばす。
「あぁ、話は終わったが帰るのは許可しない」
「はぁ?」
意味が分からないという表情を浮かべる祐未にテオはクスクスと笑いながら歩み寄る。
「今日は満月だからな」
「お前何言って…!!」

相変わらず空にはまあるい月が浮かんでいた。




全部月のせい





君と描き合い隊でお世話になりました都神ナナエ様へ。
大変遅くなりまして誠に申し訳ありませんでした!!
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