エイプリルフール企画(吉川) | ナノ




「よーしざわせんせー!!」
後ろの方から聞き慣れた高めの声が聞こえる。
振り返ると思った通りの人物がぱたぱたと走ってきた。
「どうしたんですか?」
微笑みを浮かべながら尋ねる。
すると陽菜は満面の笑みを浮かべながら口を開いた。
「あのですねっ、吉沢先生!」
あぁ、子犬みたいで可愛いな。
「私、彼氏出来ましたっ!!」
……ん?
聞き間違いだろうか。
今とんでもない言葉が聞こえた気がしましたけど?
「えっと、今なんて?」
笑顔を浮かべているつもりだけれど、顔がひきつる。
陽菜はというと相変わらず笑顔で
「だから、彼氏が出来たんですー」
がん、と強く殴られたような衝撃がした。
思わず固まっていると、陽菜はそろそろ授業なんで!と言いながら走り去った。

「…先生!」
「ぇ…、あ、なんですか?」
「そこの字間違ってますよ」
「あ、あぁ…」
陽菜の言葉が頭でぐるぐる回って集中出来ない。
字の間違いを指摘されたのはこれで4回目だ。
いつもならこんな事はないのに。
生徒に気付かれないように小さくため息を吐いた。

「えーじゃあ今日はここまでです」
ありがとうございましたーという生徒達の声を背に教室を出る。
「あ、先生!」
振り返ると、今会いたかったけど会いたくなかった人物。
「…なんですか?」
「さっきのことですけどー」
あぁ、なにも聞きたくない。
「せんせ?吉沢先生ー?」
「あ、すいません聞いてなかったです」
「もう、だから嘘ですよ」
「はい?」
…今なんと?
「だから、エイプリルフールです!」
じゃあ、涼ちゃん待たせてるので!!と言って今日に入っていった。
「…なんだ、嘘だったのか…」
安心したけども、騙されて集中力を失ってた自分が少し恥ずかしくなったのでちょうど通り掛かった秋野に蹴りをくれてやった。






エイプリルフール企画その2




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