変わらぬ、(秋宮) | ナノ






昔から無駄に明るいやつだった。
「りょーか」
「なに」
「ひまー」
いや、ここ何年かで更に煩くなったのかもしれない。
「へー」
「…涼華ちゃん冷たーいっ!」
よよよ、と泣き崩れた恭平をちらりと見る。
…なんだ、泣いてないじゃない。
むしろ、笑ってる?
顔を手で覆ってるからよく分からないけれど。
とりあえず無視して再び手元の課題に取り掛かる。

ぱらり
ページを捲る音がやけに大きく聞こえた。
あぁ、いつもわーわー言ってる幼なじみが静かだからか。
静かなのはいいことなはずなのにどうも落ち着かない。
あと三問解けば終わりなのに集中出来ない。
ふと足下に柔らかい感触。
ちらりと見ると、昔恭平に貰ったまぬけな顔の猫のぬいぐるみ。
「…」
「涼華」
「…」
「構え、よ」
珍しい真剣な声。
「…仕方ないな」
くるりと向き直る。
さっき真剣な声を出してみせたやつが、あまりにも情けない顔をしてたので にこりと笑いかけてやった。
結局、私は彼に甘いのである。



変わらぬ、

『これが日常』の涼華ちゃん視点。
キャラ設定はそのうち詳しく書きます。





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