「おいルーナ、口ついてるぞ。」
「え、なにが?どこ?」
「うーん、もうちょっと右か....そうそう!もう取れたよ。」
「やったー!」
相変わらず騒がしく夕食をとる。ルーナの口についたパンカスをマルコが指刺す。それをうまく取ると二人でハイタッチをかましている。
「ジャンー!取れたよー!」
「はいはい、よかったな。」
あの立体機動事件(ルーナとエレンの立体機動装置が壊れてた、てかルーナはベルトのはめ方が違っただけ。)の時は相当焦ったが、なんとかかんとかまた一緒に訓練できることになった。
「ジャン!このパンもらっていい??」
「デブになるぞデブ。」
「うざっ!!」
人のパンをとろうとするルーナにチョップをかまして食べる。相変わらず質素で旨くもないし不味くもない。
「ボット....パンもらっていい?」
「はは、ごめんねルーナ。」
駄目だこいつ早くなんとかしないと。

「ジャンくん、ルーナはどん臭いし、頭も悪いからよろしくね。」
「はい、おばさん。」
元々親同士も仲がよく、自然と二人で遊ぶようになっていた俺たちが二人で憲兵団を目指すことも不思議ではなかった。俺は昔から、ルーナのお守りをしてたしルーナも昔から俺に引っ付いてきていた。それにルーナは昔から鈍くさくて頭が悪かったからおばさんが俺に頼むのも無理のない話だった。でも、おばさんに頼まれなくても俺はルーナの世話を焼くつもりだったし、一緒に憲兵団に行くつもりだったからおばさんの心配をよそに木に登って遊んでるルーナを引きずりおろして不思議そうに首を傾げるルーナに笑いかけたのだ。
「ルーナ、一緒に憲兵団になろう。」
「ジャンと?」
「その為には上位10以内に入らなきゃなんねえんだぞ?」
「うん、私がんばる。馬鹿だけど、頑張るね。」



だから俺は絶対にルーナと憲兵団に行くんだ。そして内地でまた二人過ごすんだ。昔のように。巨人が壁を壊す以前のように。
「俺ちょっとトイレ行くわ。」
「え、ジャンうんこ?」
「ちっげーよ!!ブス!!」
「まあまあ、じゃあ僕は先にルーナと帰っとくから。」
「おう。」


「げ、」
「なんだよげって。」
用をたして手を洗っているとエレンもちょうど出てきて嫌そうな顔をした俺をさらに睨みつけるように見てきた。ジャージャーと静かな空間に水の流れる音が聞こえる。
「なあ、」
「んだよ。」
沈黙を破ったのはエレンだった。ぼーっと虚空を眺めながら尋ねる。
「お前ってルーナと付き合ってんの?」
「は?んなわけねえだろ。」
だよな。とエレンはまたぼーっとしながら言った。
「お前らどんな関係?」
「あ?あー、お前とミカサとアルミンみたいな関係だよ。」
「あー、なるほどー。」
今日はやけによく喋る。普段の事を考えるとここまで話しかけてくるエレンはやけに気持ち悪い。
「おい....」
「....あ?」
「いつまで手洗ってんだよ。」
まだぼーっとしているエレンになにかピンとするところがあった。いや、まさかな。
「お前、ルーナが好きなのか?」
突如ぼーっとしているエレンの頬がどんどんピンクに染まっていった。マジかこいつ。
「んなわけ、ねえだろ....。」
「お、おう。」
めんどくさい事を知ってしまったようだ。


「あ、ジャンだ!!」
「おー何してんだ?」
「星見てた!」
星を眺めているルーナの横に立って一緒に星を見る。
「ねえ、あれってジャンに似てない?」
「どこがだ。」
あー良く考えたら俺たちの関係って一体なんなのだろうか。俺はコイツの事を大切だと思ってるけど、それは恋愛感情ではないしきっとルーナも同じように考えているのだろう。でもエレンにとって俺という存在を羨ましいと思ってるんだろう。(俺にとってそれはミカサとエレンの関係であり腹立たしい)。
俺はおばさんの為にもルーナと二人で憲兵団になって内地に行くんだ。だから俺はルーナの面倒を見る義務がある。エレンには譲れない。なんだろうな、なんか娘を守るオヤジみたいな感覚だ。
「なあ、ルーナ。」
「なにー?」
「今度さ、憲兵団になったら旅行とかしようぜ。マルコも一緒に。」
「うわあ!!いいねそれ!」
横でぎゃいぎゃいはしゃぐルーナに呆れながらどこに行きたいか尋ねると巨大樹の森だとか巨人の胃袋行き旅行を計画しだしたからとりあえず殴っておく。
「ぎゃん!なんで!」
「バカ野郎!!壁の中で旅行だ!」
「あ、そっか!」
頭を抑えながらルーナはまた空を見上げる。俺もつられて空を見ると星が綺麗に輝いていた。ルーナが俺に似ているとかいってた星の行方はもうわからない。
「ジャン、私達これからもずっと仲良しだよね。」
「....おう。」
あそこに輝いている星みたいに俺たちもずっと輝き続けていよう。なんてくさい事考えてしまったけどいいだろ?お前が思ってる以上に俺はお前が大切なんだから。


◎アセビ
二人で旅をしよう

20131127





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