「おい、食べないのか?」
「ああ、正直お腹が空いてなくってね。」
後で食べることにするよ。パンをそっとポケットへと入れた。たまに私はこうして夕飯を残す。皆が食堂から出ていくのを見計らい私も移動した。
「また走ったのかい?馬鹿だねえ。」
「レオンハート....?」
入口の脇にうずくまるルーナに話しかけるとルーナはゆっくりと顔をあげた。
「今日はどうしたんだい?」
「座学でねフーバー達と話してたらぐー....レオンハート、夕御飯....」
「終わったよ。」
嘘おおとルーナの悲痛な叫びが響きわたる。ああ、ホントうるさい馬鹿だ。
「ほらっ、」
「えっ、ナニコレ」
「見てわかるだろう?パンだよ。」
ルーナは私とパンを交互に見たあとにニカリと笑ってそれを受け取り、私もルーナの横に座りこんだ。
「レオンハートは優しいなあ。」
「優しくないよ。」
「私はレオンハート大好き。」
「私は好きじゃないよ。」
ルーナは私の鼻を指でぐいと押すと嘘つきと笑った。
「レオンハートは優しい!」
「ああ、ああ、分かったからまずはその口元のパンクズをどうにかしたらどうだい?」
ガシガシと口元を拭うとルーナはぎゃんぎゃんと犬のように叫んだ。ああうるさいうるさい。
「ねえ、レオンハート。」
「なんだい?」
「レオンハートはなんで私にいつもパンをくれるの?」
ガシガシとされるがままのルーナが静かに聞いた。私はずっとルーナをガシガシしながらなぜだろうと考え続けたけれどやっぱり分からなかった。
「さあ....、なんでだろうね。ほら、終わったよ。」
「ひいいん、痛いよおお!!」
「うるさい、綺麗になったんだから我慢しな。」
さっきルーナに言われた言葉を何度も頭の中で咀嚼しながら考えた。何故、私はルーナなんかにパンを持っていくのだろう。ルーナにもってこいと言われたわけでもなんでもない。だけど、なにかしてやりたいそう思ってしまったのだ。
「あんたにとって良い人になりたかったのかもね....。」
「えっ?なになに?なんていったのレオンハート?」
「馬鹿といると馬鹿が移りそうだからサヨウナラ。」
「ひ、ひどい!!!」
なあ、ルーナ。どうしてあんたはわたしの名前を呼んでくれないんだい?

◎クレオメ
秘密のひととき

20131124





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