対人格闘の授業など真面目にやっているものは少なかった。あそこにいるアニはするすると人垣を抜け教官に見つからないようにと手を抜いているようだ。すぐそこのジャンはあくびをしている。コニーやサシャに至ってはふざけたポーズで遊んでいる。まあ、あいつらは馬鹿だからすぐ教官にバレているが。
「で、お前はいいのか?」
「なにが?」
目の前のルーナはナイフの模型を頭上高く掲げていた。まず使い方から違うがそれを指摘するとまためんどくさいことになる気がしてやめた。
「お前は憲兵団になるんだろう?ジャン達のように手を抜くって方法もあるぞ。」
「えっ、ジャン手抜いてるの?!」
気づいてなかったのか。ルーナはくるりとジャンのほうを見るとだだだと駆け出した。おい、俺は....
「こらああジャン!アルレルトが困ってるじゃん!!しっかりしなさいよ!」
「げっ、ルーナ!うぉぉっ!!」
「わっ、ジャン!!ルーナ僕のことはっうああ!!」
なぜかルーナはアルミンも投げ飛ばす。なんでこの女はこんなに馬鹿力なんだ。
「お、おいルーナ....。」
「ぎゃああ!アルレルトがああ!!」
アルミンは地面でのびていた。ルーナの叫び声で周りからもなんだなんだと人が集まってくる。
「俺が医務室に連れていくからルーナそれ以上アルミンを揺らすな。」
アルミンを座らせてルーナはガタガタと揺らすもんだからアルミンの首はガクガクと揺れている。
「ほら、アルミンこっちにこい。」
ゆっくり背中に乗ってくるアルミンが小さくごめんと呟いた。ルーナは相変わらずぎゃんぎゃん言っているがすべて無視する。
「ジャンどうしよう!!アルレルト死んじゃうよ!!」
「んなわけねーだろ!大体テメーが投げ飛ばしたからこうなったんだろうがこのブス!!」
「はああ?!私に投げ飛ばされたくせに!この馬面!!」
「うるせー!!」
「お前ら、少し黙れ。」
二人とも元気だね。とアルミンが小さく笑うのが聞こえた。そうだな、と返すとアルミンは相変わらずぐてっと背中によりかかり笑う。
「ライナーも楽しそうだね。」
アルミンに言われて自分が笑っていることに気づいた。
「....そうだなあ。」
たしかにあいつらとであってから笑うことが増えた気がする。
「アルレルト後でお見舞い行くね!!」
「え、いや、そんな悪いよ....」
遠くからルーナが叫んだ。アルミンはもごもごと口をどもらせながら俺の背中に顔を埋め、また小さく笑ったようだった。
「アルミン、お前も大変だな。」
「えっ、」
応援してやる。というとまたもごもごと背中に顔を埋めた。
「....ありがとうライナー。」
「おう。」
医務室まではそう遠くない。

◎ストレプトカーパス
ささやきに耳を傾けて

20131121





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