「これはボットの、これは私の。....これはジャ、私のにしよう....。」
ルーナは机の上にどこから摘んできたのか花を並べている。今日はたまの休日なのだ。
「これ、僕にくれるの?」
「うん、あげる。」
小さなピンクの花はくすんだ茶色のテーブルによく映えた。
「ジャンにはあげないの?」
「ジャンなんて知らない!」
今ルーナとジャンは絶賛喧嘩中なのだそうで、原因は今日街に行くという約束をジャンが忘れていたからだそうだ。僕は本を読んでいたのだけれど、ルーナがひとり落ち込んでるのを見てこうやって今話している。
「ジャンとは喧嘩ばっかりだ....。」
ルーナが珍しくシュンと言った。本当、二人は仲が良い。
「ほら、いうじゃないか。喧嘩するほど仲が良いって。」
「そうだけどね....。」
花を眺めながらルーナは笑った。ふとルーナの手の中に僕とルーナの花とは違う綺麗な花があるのに気づいた。やっぱり仲良しだなあ。僕がふふふと笑うと、ルーナはプクっと膨れて怒る。
「ジャンには内緒だよ!」
「ふふ、はいはい。」
なんだかんだお互いを大切に思いあっているのだろう。それがちょっと羨ましかったり。僕は後から入ってきたんだからこの関係の中にはきっとまだ入れない。でも、今はこの関係も好きだったり。
「お、ルーナとマルコ!なにして、ってなんだルーナその花?」
「ぎゃあああ!!やめて!とらないでええ!」
「ああっ!ルーナそんなに引っ張ったら....コニーも!!」
「「「あっ」」」
花びらがひらひらと落ちて花は無残な姿になっていた。
「あ、悪いルーナ....。」
「うううう!!スプリンガーのばかあああ....」
「ルーナ、泣かないで....ほらほら落ち着、あ。」
へたりこむルーナの後ろには見慣れた顔。ホントに、来るのが遅いんだからなあ。
「おい、何泣いてんだルーナ。」
「ふえ、ジャン?」
そこには片頬を赤く腫らしたジャンがいた。どうやらルーナがビンタしたらしい。
「ひどい顔がさらにひどくなってんぞ。ほら、コニーも謝ってんだろうが、許してやれ。」
「うん、うん。」
「ほらいくぞ、街。ごめんな、忘れてて。」
「私も叩いてごめんね。」
どんどん二人の背中は見えなくなっていく。なにはともあれ一件落着ということだろうか。
「なんだあいつら。夫婦みてえ!俺んちの母ちゃん達もあんな感じだぜ!」
「仲がいいんだねえ。」
「アルミンも大変だなあ。あんな保護者がいたら。」
「ああ、アルミンはルーナが好きだったね。」
早速ライナーが流した情報を知ってしまった僕はジャンには悪いけどアルミンを応援している。きっとジャンは娘をとられたお父さんみたいに寂しがるんだろうけどね。その日ジャンに買ってもらったのだとはしゃぐルーナの髪には花の髪飾りがキラキラ輝いて見えた。


◎サボテンギク
のんびり気分


20131128





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