みょうじなまえ。隣の隣のクラスの女子。彼女は俺のことが好きらしい....。あいつとは一年の頃同じクラスで毎日馬鹿やるような仲だった。今でもちょくちょく一緒に帰るし遊ぶ。だから正直俺も気になっている奴だった。というか、好きだった。
「ねえ、エレンなまえのことだけどね。」
「え、ああ。」
「あ、んだよエレン!なまえが好きなのかよ!!おいライナー聞いたか?!」
「お、おい止めろよ!!」
ジャンがライナーを呼びに行くのを必死に止めるとそれがまた面白いらしくまたジャンがゲラゲラ笑った。
「今日からアイツもなまえ・イェーガーだな!おいおい、奥さんはどうしたんだよエレン!!」
「うぜえ!!」
とにかくジャンはこういう類の話が好きらしく(自分に全く縁がない為)なにかとデリカシーの無いことを言うのが煩かった。一体何度この手の話でからかわれたか分からない。
「おい、なまえちゃんを迎に行かなくてもいいのかよ !」
「うるせえ!大体なあ、俺がなまえなんかと付き合うわけねえだろ!!」
「ちょっ、ちょっとエレンっ!!」
アルミンの静止も無視して俺は続ける。ジャンは突然俺が出した大声に驚いたのかこちらを見て固まっていた。
「好きじゃないんだよなまえなんて!!だいたお俺はな、クリスタみたいな女らしい女の方がな「エレン。」あ?なんだよ!!今....話、して、る....」
名前を呼ばれて振り返るとそこにはなまえが立っていた。目には大粒の涙をため、手には俺の好きなポッキーが入ったコンビニ袋をさげて。
「なまえ、これは、違うんだ」
なまえは俺の横をスッと通り抜けるとアルミンに袋を渡した。よく見ると中にはポテトチップスや、ジュースなどいろいろ入ってて全部俺が好きなものだった。
「アルミンこれみんなで食べて。」
「あ、うん....。」
「ジャン、CDありがとね。今度ライブ行こうか。」
「お、おう。」
突然なまえは俺をくるりと振り返ると笑った。目にはもう涙は溜まってなかったから無理矢理引っ込めたのだろう。
「なまえ....俺、」
「さよなら、エレン。」
その時、すっごい後悔した。なんであんな思ってないことを言ったんだって。他にもあのCD俺だって持ってたのになんでジャンから借りるんだとか、そのポッキーは俺のためのじゃないのかとか色々考えた。そして色々考えてはどんどん消えていった。さよならってなんだろうか。また会おうさようなら。もう二度と会うことはないでしょうさようなら。今度は沢山のさよならが浮かんで弾けて消えていった。
「ごめんね。」
なぜなまえは謝るのか俺には分からない。なあ、なんで謝るんだ?謝るのは俺だろ。
「ごめんな。」
なんでお前は笑うんだ。


それ以来週に一度は帰ったり遊んでいたなまえと疎遠となった。
メールやSNSで連絡をとろうとしても全て返事はなかった。ただ小さく既読、と書かれた文字にどうしても心がいたんだ。
「なまえ、いるか?」
「なまえ?もしかしてみょうじさん?ああ、あの子学校辞めたよ。なんだかね、おうちが大変みたいでね。」
なまえのロッカーはぽっかり穴があいたように綺麗だった。靴箱には今まで入れられてたきったないローファーもなくて、出席表からもなまえの名前は無い。ぴこんっというSNSの通知音が聞こえてきて開くとなまえからだった。エレン好きだった。今までありがとう。なんて絵文字のないアイツらしくない文がポツンと二行だけ送られている。すでに彼女のトークルームは友だちがいませんunknownだなんて連絡のとりようがなかった。
「ごめん、ごめんななまえ....。」
なまえは遠いところに行ったのだろうか。今更好きだよなんて送信しても、きっと永遠に既読などつかないのだろう。好きだ、愛してる。きっとこの言葉たちはみななまえにたどり着くことなくどこか遠いところをさまようのだろう。一向に既読のつかないそのトークルームはそのうち真っ暗に消えていった。さようなら。その一言さえ情報の海に飲まれてく。

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