「ノミ蟲の野郎、理沙のこと好きなんだとよ」


いつものように池袋の東口方面
60階通り付近で殺り合っていたらしい私の高校からの親友で後輩でもある平和島静雄と折原臨也
まんまと臨也に逃げられてしまった静雄と、同じ通り沿いにあるファーストフード店でばったり出くわし、思いもよらない言葉を聞かされた

臨也にとって私は、姉のような存在でしかないと思っていた



静雄に会った翌日から、私は私用で休養中の波江さんに代わって臨也の仕事を手伝うために、彼の自宅兼事務所へ泊まり込むことになっていた
私が来る前日まで、波江さん無しで一人仕事をこなしていた臨也は、疲れているのか私が部屋に上がり込んだ気配にも気付かずソファで寝入ってしまっていた
余程疲労が溜まっているのか、何度声を掛けても起きなかった



「何か食べるもの用意しとくか」



自宅兼事務所という彼の部屋は、リビングにベッドルーム、バスルーム、そしてキッチンにも、ホテル並の家具やらグッズやら全て揃っている
キッチンは特に、彼のために料理をこしらえる際など私にとってはとても助かるのだが、彼自身がこの揃えられたものたちを活用している姿は見たことがない
これは昔から彼の、変なところでこだわる変わった部分だったりする


♂♀


昼の12時少し前だったが、起きぬけになる臨也のために、彼の好きな甘めのふわふわスクランブルエッグ、カリカリのトーストにベーコンとアスパラのサラダ、という軽すぎるランチを用意して、未だソファで小さく寝息をたてる彼の元へ歩み寄った



「臨也」



5回ほど呼んで揺すってを繰り返し、臨也はようやく目を覚ました

なんでここにいるの、とでも言いたげな寝ぼけ眼の彼の身体を支えるように起こしてやり、今日からしばらく泊まりで手伝う約束だったでしょう、と告げると思い出したのか、そうだったゴメン、と何故か謝罪された



「お腹空いてる?」

「あぁ、空いてるかな、そういえば」

「好きなやつ用意しといたよ」



臨也をテーブルに誘導し、お気に入りのカップにコーヒーを注いでやると、私は薄暗い部屋のカーテンと窓を開けた
外は気持ちがいいほど晴れていた



「それ食べたら顔洗ってきなね」

「うー…」

「臨也」

「はいはい」



綺麗に完食し、最後に少し冷めたコーヒーを口にしてから、臨也は寝グセのついた頭をユラユラさせてバスルームへ向かった



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