今日も今日とて情報整理
好きだからこの仕事をしているとはいえ、こうも毎日同じ作業が続くとさすがに参る
好きなことでも飽きは来るものなんだなぁとしみじみ思った
理沙が来たら整理は彼女に任せよう
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠っていたらしい
腕時計を見ると2時間ほど経過していて17時を回っていた

戻りきっていない意識の中かすかに耳に入る物音はキッチンからだ
カチャカチャと食器のぶつかる音と一緒にひょこっと理沙が顔を出した



「あ、起きてた」

「声かければいいのに」

「昼寝を邪魔しちゃ悪いと思って」



理沙は、自分のアルバイトを終えてすぐ来てくれたのだろう
アルバイトの時にしかしていない眼鏡と腕時計をしたままだった



「臨也、顔色悪いね」

「ちょっと寝たから大丈夫だよ」



言いながら、ふとデスクの上を見ると、彼女に頼むはずだった仕事が片付いている
俺の視線に気付いた理沙が、俺の前にコーヒーカップを置きながら「終わってるよ」と言った



「悪いね、いつも」

「いいえー」



軽い返事をして自分の分のコーヒーに口をつけた理沙の細い背中を見ながら、俺は彼女をとても愛おしく思った



「もう少し寝たら?」

「いや、平気」

「そんなこと言って、結構すぐ風邪引いたりするでしょ」



俺のことを"強い"男だと誰もが思っていて、俺が理沙なしで生きることをひたすら怖れているなんて誰も気付かない
きっと、俺自身気付いていなかった
気付いていないフリをしていたのかもしれない



「本当に平気?」

「やっぱり平気じゃない」



自分の体調管理を上手くできなくてすぐ風邪っぽくなるところ、疲れていたら仕事ほったらかしてうたた寝しちゃうところも、知っているのは理沙だけだ
俺には理沙が必要なんだと、本当はずっと言いたかったのかもしれない



「ねぇ、理沙」




この世界を敵に廻しても味方でいて




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -