「はぁ?ホントに行くのかよ」


夜の22時を回った池袋西口公園
人が疎らな噴水前で俺の声が少し大きめに響いてしまった
新宿の情報屋、折原臨也のパートナー兼恋人であるリサの口から信じ難い言葉を聞かされたからだ



「仕事だし、仕方ないよね」

「行くな、やめとけ」



ノミ蟲に言い渡された仕事内容
人体実験を繰り返しているらしい製薬会社に単身乗り込んで調査をしろというものだった
恋人であるリサを立入禁止臭ムンムンな場所に一人で行かせるなんて、やっぱりアイツはノミ蟲だと改めて実感した



「そんなとこの情報せしめてどこに売ろうってんだよアイツは」

「知らない、けど現場の調査は臨也じゃ無理だし」

「にしたってやっぱりお前一人で…」



吸っていた煙草を携帯灰皿に押し付けベストの胸ポケットにしまってからリサを見た
心配する俺を余所にリサは「大丈夫だよ」と、優しく微笑んだ



「俺も行く」

「ダメだよ、臨也に殺される」

「俺が先にアイツを殺すから心配すんな」


リサの銃の腕前と俊敏さがあってこその仕事だろうが、ノミ蟲は本当に彼女を駒の一つくらいにしか思っていないんだなと、なんとも腹立たしかった
リサが折原臨也の犬であることを彼女自身とっくに理解し覚悟していること、それでも尚アイツの傍にいることも腹立たしかった



「臨也殺したら、私のこと引き取ってくれるの?」



イライラを隠しきれていない俺を隣で小さく笑いながら見つめるリサ
冗談半分に言ったのであろうその質問に、俺はくそ真面目に答えてやった



「引き取りたいがために殺すんだよ」



略奪ワルツ



俺の方がまだマシだろ?


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