「レナちゃんのとこ、たまには行ってあげてるの?」



昼寝をしようと図々しく上がり込み勝手にソファーに寝転んだ途端、今まで黙っていた部屋の主の口からねぇちゃんの名前が出てきて、なんだか眠気が覚めてしまった
僕は、最後にねえちゃんに会ったのはいつだったかなぁと考えながらずり落ちた毛布を首まで上げた



「リサさん」

「なに?」

「オレ、一回死んだんだよ」

「急にどうしたの?知ってるよ」



いい歳こいて必要以上に嫉妬深い彼女は、きっとねえちゃんの存在を良く思っていない
それなのに゙たまには行ってあげてるの?゙なんて、彼女の優しさが少し寂しかった



「無理しないでよ」

「なにが?」

「本当は会ってほしくないって思ってるくせに」



痛い所を突かれたような分かりやすい顔をして、リサさんはまた黙ってしまった
彼女は嘘が下手だ
そこは、ねえちゃんと似てるところ

今、彼女を目の前にしてふと、あの時冥使になってねえちゃんやリサさんを襲うくらいなら死んだ方がマシだと、死を選んだのは間違いだったと思った



「眠かったんでしょ?」

「あ、話反らした」

「早く寝なさい」

「いきなり子供扱い?」




寝転んだままの僕の傍に寄ってきて、彼女はソファの縁に腰掛けた

一向に僕の目を見ようとしない彼女に痺れを切らして、僕は起き上がって徐に彼女に抱き着いた



「やっぱりまだ死ねないな」

「やめてよ」

「何があっても、リサさんと一緒に居たい」



例えあのまま冥使になってしまっていたとしても、彼女と共にありたいと思う僕も大概、嫉妬深いなと



「それにオレ、病気だし」

「病気?初耳」

「リサさんじゃないと治せない」




死なせてくれぬ病、
恋と云ふ





こんなに好きなんだ



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