二週間ぶりくらいの雨
もうすぐ梅雨の時期だなぁなんて思いながら、静かなリサさんの部屋で一人の時間を過ごしていた

悩んで落ち込んで全てのことに疑心暗鬼になっていたところに、ミサトさんの補佐役であるリサさんが「二人で一緒にご飯でも食べよう」と声をかけてくれたのがきっかけで、それ以来ずっと一緒にいる
ミサトさんのような明るさはないけれど、見た目から言葉から声から行動から滲み出るようなあの優しさが僕には救いだった



「ただいま、ごめんね遅くなっちゃって」

「大丈夫だよ、テレビ見てたから」

「そんな顔しないの」



急いで帰ってきたのだろう軽く息を切らしながらリサさんはそう言って、僕の頭をふわっと撫でる
僕にはその手の平すら愛しい

小さい変化も見逃さず必ず気付いてくれる彼女に、僕は依存しているんだ
頭を撫でていた彼女の手を取って、そっと握りながら改めて思った



「今日は外食にする?それともお家がいい?」

「外雨だし、家で食べようよ」



僕の言葉ににっこり笑ってキッチンへ向かうリサさんに、僕は咄嗟に気になっていたことを口走っていた



「リサさんはどうして僕に優しくしてくれるの」

「んー…シンジくんの気持ちが痛いほどよく分かるし、放っておけないっていうか、シンジくん似てるんだ…私に」


リサさんも過去にいろんな経験をして苦しんできたと、ミサトさんから聞いたことがあった
その時は詳しく聞けなかったけど、いつかリサさん自身の口から聞くまで待っていようと決めたんだった

「牛乳入れないと」なんて言いながら、鍋の中身を掻き混ぜているリサさんに擦り寄った



「…?…しんみりしちゃった?」

「リサさん…僕は…」

「だめ、ストップ」

「え?」

「弱虫でも臆病でもいいじゃない、私だってそうよ、でも弱虫で臆病だからこその優しさがシンジくんにはあるじゃない」



言おうとしていた言葉は遮られた
でも、嬉しくなって安心して後ろからぎゅうっと抱き着いた
「ああ、危ないよ」と言いながら、回った僕の腕を優しく撫でる手の平はいつもと同じ、変わらない



「私、シンジくんのこと大好きよ」

「僕だって、それ以上に」




愚かだと笑っていい 貴方の為なら両の腕が赤く染まり足がもがれても、本望



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