「ねぇ」



放課後、「外食して帰ろう」と迎えに来てくれたリサさんと街灯の明かりがまだ目立たない夕暮れの歩道を一緒に歩いていた



「シンジくんはアスカのこと好きなの?」

「え?なんでそうなるんですか?」



「いつも仲良さそう」と笑うリサさんを本気で好きだなんて、言えるわけがなかった
今、何気なしに繋いでいるこの手も、僕のことを子供扱いしている動かぬ証拠
彼女の白く細い手を見つめてから軽く溜息をついて、僕は夕空を見上げた



「私はシンジくんが好きよ」

「え?」



冗談だと思った
きっと、またからかっているんだと思ったのに…
そう言って唇を重ねてきたリサさんは、夕暮れの空と同じように切な気に微笑んでいた



「冗談…やめて下さい…」

「冗談じゃないよ」



繋いでいないもう片方の手で僕の頭を優しく撫でる
大好きで大好きでどうしようもないリサさんが僕のことを好きだなんて、夢でも見ているような気分だった
一瞬でも触れた唇がまだ熱かった



「おかしいと思う?」

「なにが…ですか?」

「私がシンジくんを本気で好きだなんて」



まだ信じられない気持ちと、嬉しさと夢見心地で僕はちゃんと声を出せていなかったかもしれない



「おかしくなんか、ないです」

「そう?」

「僕もずっと言いたかった」





生きる意味は貴女



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