布団の中、目を開けて天井を見る
眠ると嫌な夢を見るし、いろんなことが頭を巡っていてどうせ眠れないんだ
そう思いながら、うっすら開けたカーテンの隙間から見える空に目をやった



「リサさん…今何してるのかな」



3号機の起動実験で他のスタッフより先に松代に赴いている彼女は、深夜になった今もあくせく働いているのだろうか
それとも流石に眠っているのだろうか

ふと、枕元に置いた携帯電話を手に取ってみる
開いて、アドレス帳の彼女の名前を見つめた



「電話…迷惑かな…」



独り言を呟きながら発信ボタンを押そうか押さないか、小一時間悩んだ
結果、やはり緊急でもない深夜の電話ほど迷惑なものはないなと判断して携帯を閉じようとした
瞬間、着信音が鳴ったので驚いて肩を震わせてしまった

恐る恐る画面を見ると彼女からだった



『あ、もしもし?シンジくん?やっぱり起きてた』

「リサさん…」

『また眠れてないんじゃないかと思って、一段落したから電話してみたの』

「お見通しだね」



嬉しくて、携帯を持つ手に力を込める
声も自然と明るくなっていた
どうして彼女は僕をこんな風にできるんだろう
それは僕が、彼女を好きだから
単純なんだ



『じゃあ、そろそろ切るね。私も少し仮眠するから』

「うん、そうだね」

『シンジくんも眠れそうなら、ね?』

「うん、分かってる」

『いつでも電話してきていいんだからね』

「ありがとう…リサさん」



その後、少しの間、間があった
お互いの息遣いが聞こえるのではないかというほど静かだった
でも、幸せだった

また、カーテンの隙間の夜空を見つめてみる
彼女も同じ空を見ているのだろうと思うと、自分の勝手な思い込みとはいえ、身体の中心がすごくポカポカした



『おやすみ、シンジくん』

「おやすみ、リサさん」



彼女が切るのを待ってから、僕も電話を切った
今度はこの静けさが無性に悲しく寂しく思えたけど




どうせ
今夜も眠れないなら





彼女を想って
幸せに浸ろう



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