後書き!

やわはだの、最後までお読みいただきありがとうございました。この連載はとってもとっても書くのが楽しかったの一言です。

タイトルの『やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君』、簡単に訳すと「いつも真面目な顔で人の道を説いているあなたですが、この柔らかな女性の熱い血汐に触れもみないで寂しくはないのですか?」って感じです。自分の方を見てくれない生真面目な相手に強気に迫るような歌でとても好きです。詠んだのは、既存白鳥沢連載の天童くん、瀬見くんのタイトル短歌の作者と同じく与謝野晶子。

牛島くんみたいなタイプには、自分からガンガン動いてくれるような女の子をつい当てたくなっちゃう。雰囲気が似ていそうな研磨連載の女の子は、似ているようで周りからのサポートとかが必要というか、突っ走るタイプではあるけど一人きりで全部導ける感じではないように書いています。こっちのヒロインは、悩んだり立ち止まりそうになったりぐるぐる考えたりはもちろんするし、周りから助言とか励ましも貰う。けど特別周りが何もせず放っておいたとしても全部自分でできちゃう。

牛島若利という強いキャラクターの隣には、生き方が強い子がいてほしいな。というのが私個人の理想としてありました。そうして出来上がったのがこのヒロインです。

書いてて楽しかったのはも〜白鳥沢メンバーとの絡み!です!とくに山形くん。個人的に山形くんとたくさん絡めたのは嬉しいです。

難しかったのは、これは本当に受験関連のこと全てです……日程とかもそうだし、地方の人が東京に受験をしにくる時はいったいどの程度の期間で、どうやって過ごしているのかがわからずそこを調べたり、さりげなく上京してきた友達たちに話を伺ったりしました。

受験時の空気感とか苦しい心境とかってとても独特なので、頑張って思い出そうとしてもなかなかね〜。人によっても感じ方とか苦しさは違うし。なのでTwitterとかInstagramでリアル受験生さん達の勉強アカウントの投稿とかを色々見させてもらったり、いろんな受験生ブログを読んでみたり、これもさりげなく当時の話を友達に伺ったり。笑

でも勉強とか受験とかそっちの空気に偏りすぎても話が進まないし、堅苦しすぎてもお話として面白くないし窮屈すぎるし、離れすぎると緊張感も薄れるし……とかいろいろ考えながら書いていました。

調べたものはたくさんあります。まず、具体的な志望校を決めました。名前とかは一切出しませんが、実際のその大学の受験日程を調べて、その大学に行くなら第二志望はこの辺りにする人が多いとか、どういう受験の仕方を組むかとかも調べて、第二志望も一応なんとなく決めて受験日と発表日とかも決めました。お話の流れにうまく組み込めるように変えている部分も多々あるので、実際に調べられると全然違うじゃん!と言われてしまうかもしれませんが。笑

2022年現在と当時の2013年1月じゃ受験の仕方もだいぶ変わっているだろうと思い、最新の受験生を追ってもそこはわからないので10年前のあれやこれやも調べたり……今はほとんどの子が共通(当時はセンター)受けるかもしれないんですけど、私の記憶があっていれば稀に受けない子もいて、その子たちは全員国立とかはもう狙わないと決めてる良いとこ私立一本狙いだったなぁとか思い出したり。受験関係詳しい人とかに聞いてみたり、当時と同じ頃に書かれた受験生ブログとか受験生ツイートを頑張って発掘して調べたら、結構ヒロイン第一志望校候補とかその辺り受けてる当時の人でセンター受けてない人たちとか、受けなければよかったっていう人いたりして。

もちろん書きやすいようにその辺りも色々変えているし、どうやってもガチ受験経験者さんや現役の方々からしたら生ぬるいと言われてしまう勉強具合になってしまっているかもしれませんが、お話として書ける範囲でしっかり受験メインの話は一回書きたいと思っていたので、それを進学校である白鳥沢の生徒のヒロインとして書けたのは、難しかったけれどとても満足です。世の中の受験生、いつだって本当に凄いです。

好きなシーンどれだろうなぁ。文化祭で握手の形で手を繋ぎあって二人して後夜祭ステージ見てるところは、たぶん周りから見ればすごいシュールなんだろうなと思えて地味にお気に入りです。あとは球技大会の山形くんとの会話とかは全体的に書きたかったもの書けたので気に入ってます。山形くん好き。

裏話なんていつも通り全然ないんですけど、天童くんがフランスに行くことが判明した時に言っている具体的な理想の映画、あれは作品名を天童連載の後書きでも出したのでこちらでも出してしまいますが、「アメリ」という映画です。ヒロインが「あの真っ赤なカフェでクリームブリュレのおこげを潰して食べたいよねー」と言っていますが、天童連載で天童があっちのヒロインを連れ回している時にその真っ赤なカフェに行っておこげ潰してます。

牛島くんの印象は、もうこのヒロインにこれでもかとしゃべらせたのでここでは言うことがないのですが、個人的に本当に「強い」だと思っています。パワー的な意味でもそうだけど、生き方も考え方も何もかもが強い。その圧倒的な強さが時と場合により怖くて、そして優しくて、何より魅力的に映る。天童くんが原作でも言っている通り、いつまでも崩れないフォーム、ずっと強いままでいられる姿勢、本当に美しい。

牛島くんの「強い」をぶれさせることはしたくはなかったので、牛島くんが恋をする過程であれやこれやする展開は全く書いてません。例えばまた出しちゃうけど研磨連載みたいな。相手側に何か揺らいでもらう出来事があるとかそういうのは本当に、一切、考えなかったです。

いつもよりも台詞を多めに、台詞間の地の文少なめに……って思いながら書いてたはずが全くそこが上手くいかなかったので、結局いつも通りになってしまいました。

何回も書いてしまいますが、本当にこのお話は書くのが楽しかったです。読んでくださった方々にも、文章から楽しみながら書いているのが少しでも伝わっていると良いなぁなんて思ったりもするくらい、個人的にとても楽しかったです。

白鳥沢が大好きなので、瀬見連載や天童連載では出来なかった白鳥沢メンバーをたくさん出す!というのもこの連載では出来て本当に嬉しいです。何よりも、大好きな牛島若利くんの連載をこのように楽しく書き上げられたことが嬉しいです。

この連載を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。これからも、やわはだの、そして当サイトをどうぞよろしくお願いいたします。

2022.11.02 栄田



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