短いのから長いのまで。会話文・たま〜にSS。
本編関係なかったりあったり時事ネタだったり
その時々に好き勝手に書いているものなので
本編内容ズレがあっても目を瞑ってください…
極々偶に本編・番外編に昇華されます。
増え次第不定期更新:最終 '22.12.26
「夏って言ったら孤爪くんは何がしたい?」 「涼しい部屋でゲーム」 「却下!するけど!涼しい部屋でゲームも一緒にするけど今聞いてるのはそういうことじゃなくて!夏っていったら青春って感じじゃん!きらきらしたいじゃん!」 「おれは別に」 「したいよね!?」 「…………」 「なんかしたい〜!!夏って感じで出来れば数年後思い出してエモ!ってなるような思い出作りたい〜!」 「…………」 「君と夏の終わり、将来の夢、大きな希望忘れない」 「歌わないで」 「出会いはふっとした瞬間、帰り道の交差点で」 「捏造しないで」 「…………」 「来週クロたちが部活帰りに花火するって言ってた」 「え!」 「……来れば」 「え!!!!!」
「メッシ……!!!先制……!!!」 「サッカー全然知らないけど私でもさすがにわかる人だ!すごい!!」 「ぶっちゃけ俺も詳しくはない!けど目が離せない!」 「サッカーもバレーも強くてフランス凄いねぇ」 「来年の大会ではバレーもアルゼンチンがそこまでいくからね、見てろよ次こそ」 「あっまたメッシが」 「え、なに!?」 「違う人だったっぽい。というか今どんな状況?」 「わからないけど応援楽しいし、アルゼンチン勝ってるから楽しいって気持ち」 「私も」 「てかさっきから食べてるそれ俺が買っておいた煎餅じゃんか……!一個ちょうだい!!」 「はい。あっ!また追加点!!」 「ウワッ今の凄っ!!怒涛の二点目凄っ!!」 「…………」 「ってちょっとそれ俺の煎餅!!なんで食べちゃうの!!」 「全然受け取らないから」 「今のはテレビ見ちゃうでしょ!タイミング!仕方ないじゃんか!」
「寒ぃ……」 「そんな風に朝からずっと寝たきりやから体温上がんないんやろ。はよ起きろ。布団はたため」 「無理無理無理あんた俺を殺す気?酷い人だ」
そう言って駄々をこねながら苦虫を噛み潰したような酷い顔で睨んできたいつかのこいつと、今目の前で雪にはまった左足を抱えてぶつくさと文句を垂れるこいつを重ねる。記憶の中のそれと同じ顔でこちらを向いた角名に思わず笑えば、「笑ってんな」と言って不貞腐れたようにむくれて、「最悪すぎる」と濡れた左足をパタパタと揺らしながらでかいため息を吐いた。
「よそ見してたんが悪いな」 「こっち雪あるよって教えてくれてもよかったのに」 「そうやって俺のせいにするんか?」 「……ハイハイ。前見てなかった俺が悪いですよね」
数日前に降った雪が一部まだ溶けきっておらず、日光を浴びてきらきらと辺りを照らす。凍傷で死ぬかもなんて弱々しく呟いてフラフラと歩く曲がった背中には哀愁が漂っているようにも見えた。
「あと十分もすれば家着くんやからせかせか歩け」
まだ十分もある……。なんて肩を落とし項垂れた背中を励ますように一度叩いて笑い飛ばす。こいつとこの時期にこんな場所を歩いていることに未だ慣れなくて、いつもよりちょいと気分が上がっとるのを誤魔化すように、薄く白けた冬の空に昇る太陽の日差しに目を向けた。
「11月1日は古典の日なんだよ」 「へぇ」 「紫式部の日記で初めて源氏物語の記述があったからって」 「そうなんだ」 「うん。それでね……あー、やっぱやめるねこの話」 「……どうして?」
パラパラと雑誌をめくっていた手を止めてこちらを見た倫太郎くんは、そのままパタンとそれを閉じて隣に仰向けに寝転んで本を読んでいた私の方へと身を寄せる。胸下あたりにポフっと顔を埋めた彼は、器用に私の持っていた本を奪い取って先ほど自分が読んでいた雑誌と重ね遠くへと置いた。
「私ばっかり楽しくても意味ないじゃない?」
そう言うと彼はジトッとした重い視線を圧たっぷりに投げかけてくる。そしてまたボフッと先ほどよりも勢いよくもう一度そこに顔を押し付けるように沈め、くぐもった声で「あんたの話はなんでも聞きたいって言ってるじゃん」と言いながら腰に腕を回ししがみついてきた。
「拗ねてる?」 「拗ねてねぇよ」 「拗ねてる〜」 「違うって」
だんだんと不機嫌になっていく彼の声に耐えきれず笑っていると、スッと伸びてきた指がムニッと頬を軽く引っ張る。「で、続きは?」と急かすように聞いてくる彼に負け、「学生の時に赤葦くんがさ」と続ければ「は、なにそいつの話?」なんて不愉快そうな声を出したから「ほら、やっぱり話さないほうがよかったじゃん」と笑ってみせた。
どこか怪しい雰囲気を漂わせるパリ18区。ひっそりとした路地の階段を登りながら、まだ少し肌寒い夕方の空気を感じていれば、街灯に照らされて伸びた長い影がゆらりと揺れる。後ろをついてきていた天童さんが大きく一歩踏み出して、ぴったりと背中にくっつくと同時に、柔らかい温かさに全身を包み込まれて、そのまま彼の脚の間に収まる形で階段に腰を降ろした。彼は口数が多い方だ。けれど一緒に過ごしていると意外にも静かに過ごしている時間も長いことがわかった。話す時はとことん、黙っている時もそう。肩に置かれた彼の頭をゆっくりと撫でると回された腕の力が強くなる。「こっち向いて」との言葉に首だけ後ろに回せば、ひんやりとした空気に晒された肌の中で唇の一箇所だけが暖かくなった。誰もいない空間。聞こえるのはお互いの呼吸音と、遠くに聞こえる教会の鐘の音色だけ。
チョコレート、美味い。マシュマロ、美味い。おにぎり、めっちゃ美味い。あの子がくれるもんは全部全部美味い。食べ物は何でも口に含めば気分が上がる。食べる行為そのものが好きや。でもあの子が関わるとそれだけやなくて、心の奥底の深い部分がむずむずした感覚になって、じんわりじんわり熱をもつ。寒い冬にやっと食べれるおでんみたいな、ほっとする安心感とあたたかさ。「おでん?それはちょっと失礼じゃない」と話を聞いていた角名は苦笑いをする。先程廊下で貰った飴を口に含みながら、ん〜、やっぱいつもの倍美味いわ。なんて思っていたら「口に出てるよ」とまた角名に笑われてしまった。
どれだけ話しかけても口を開いてくれなかった彼女は、最近やっと少しずつ会話をしてくれるようになった。「重そうじゃん」と抱えていた本の山を半分以上奪い取って隣へと並ぶ。焦る彼女に、きっと今の時間は図書室にも誰もいねーよと声をかけると、納得のいかなそうな顔をしながらも仕方なく首を縦に振った。ぷるぷると辛そうに力を込めて爪先立ちをする手元から本を奪って、元の場所へ全て戻してやる。本棚の方を向いて俯いたままの彼女が小さく言葉を発した。「自分でも出来たと思う、けど、ありがとう」。素直じゃない可愛げのない言葉が何とも可愛い。思わず口元が緩むが、彼女はこっちに背を向けたままだから気にしない。あぁ、早く俺のもんになればいいのに。なんてな。
「あいつ見た目だけで意外とフツーだもんな」。そう話すクラスメイトたちの話に無意識に耳が傾く。こいつはいけるだとか、いけないだとか、好き勝手に点数をつけて評価をする下衆い話は聞いているだけでも気分が悪い。そんな最低な話題の中に自分の彼女の名前が出てきたとあればその不快感も最高値に達する。「孤爪と付き合ってなかったら結構アリだった」なんて、勝手に失礼すぎる判定を出す奴なんて何があったって無しに決まってる。この最悪のタイミングで教室へ帰ってきた彼女をジトっとした目で軽く睨めば「孤爪くんの機嫌が悪い!」と人目も気にせず腕に絡んでくるから「こんな場所でやめて」と引き離そうと試みるも「原因知るまでやめない!」と絶対に離れようとしない。そんな彼女を見て、他の人たちがどんな評価をしたってこの子はおれ以外ナシだよ、なんて、当たり前のように思わせられた。
しとしとと降り注ぐ雨を見上げて、あー、間に合わなかった。と小さく溜め息をつく。鞄を上着で出来る限り隠して、中に入っているクロッキーノートが濡れないように背中を丸めて覆いかぶさった。よし。そうして気合を入れて一歩を踏み出そうと片足を上げた瞬間に、「ねぇ」と聞き慣れた声がしてそれと同時に体が後ろにグンッと傾く。「……何してんの、濡れるじゃん」。とても不機嫌そうにそう言って、片手に持っていた大きな傘を勢いよく開いて歩き出す。掴まれた腕に引っ張られるようにしてその中に収まりながら「ありがとう、迎えに来てくれたの?」と問えば、「誰かさんはこの位の雨じゃ連絡してこないかなと思って」と呆れたように呟く。そんなんじゃ濡れるよ、とこちらを見た彼の言葉に慌てて鞄を持ち直すと、違うそうじゃないと勢い良く肩を引き寄せられた。「こういう時は連絡してって、いつも言ってるでしょ」。珍しく子どもっぽく拗ねたように言いながら、歩幅を合わせて歩いてくれる彼に、頬が緩むのを抑えきれなかった。
「あー、美味い」。ビールを飲んだ後に思わず出てしまうような、温泉に浸かった時に自然と出てしまうような、そんな感じで無意識に発してしまうこの言葉。もう何年もこれを伝え続けているのにこいつは毎回治くんの方が料理上手いのにと笑う。「治くんのほうが美味しく作れるのに、いつもありがとうね」。ほら、やっぱりまたそんなことを言う。料理は味がもちろん大事やけど、それとおんなじくらいに愛情と真心が大事やっていつも言っとるやん。俺好みのサイズに切られた具を口に含んで、好きやと伝えた濃さに調節された汁を啜った。こういう細かい気遣いと思いやりが何よりも嬉しくて、それがもっとこの食いもん達を美味くさせとるんや。口の中に広がる味噌汁みたいに、心にポッとあったかいもんが拡がる。これが出来るのはお前だけやろ。な、やっぱり、「お前が作ったもんが世界で一番美味いわ」
「まだ起きなくて良いじゃん…」そんな俺の主張は虚しく無視され、むくりと起き上がった彼女がシャッと勢いよくカーテンを開けた。途端に明るくなる視界に耐えられずに布団を被ると「寝坊助」と足元に飛び乗ってくる。「今日は朝からあの映画見に行くって約束してたじゃない」。そう言ってむくれた彼女に「あぁそうだった、忘れてた」とあくび混じりに告げれば「酷い」とさらに膨れっ面を披露する。それに笑いながら起き上がって、頭にポンと手を乗せ「嘘だよ、ちゃんと覚えてる。エイプリルフール」とカレンダーを指差し答えると、驚いたように目をぱちぱちとさせた彼女が次の瞬間にはまたムッとした顔をして「もう、角名くん嫌い」と不機嫌そうに言い放った。え、ちょっと、そっちの方が酷くない?と取り乱した俺を見て嬉しそうに笑った彼女が「エイプリルフール。嘘だよ、好き」なんて言うから「そういう嘘はやめてよ」なんて自分でも笑っちゃうくらいに情けない声を出して、目の前の小さな肩を抱き寄せた。
うつらうつらと船を漕ぐ女の影がゆらゆらと揺れる。こんな風に眠りこけるなんて随分珍しいなと思いながら、寒くもなく暑くもない丁度良い気温やし、そうなるのもまぁわかるわ。と不安定にふらつくその頭を引き寄せて自分の肩に乗せた。「いくら暖かくなってきたとはいえこんな所で寝とると風邪ひくで」と小さく話しかけてみても起きる気配は微塵もなく、すやすやと気持ちが良さそうに一定の呼吸を繰り返すだけ。それと同時に柔らかく吹いた春の風に乗って、ふわりと優しい香りが目の前に広がった。その匂いがシャンプーなのか他の何かなのかはわからん。抱えた後頭部に顔を埋めてこいつと同じようにそっと目を閉じた。途端にぶわりと濃くなる心地の良いこの匂いは何かの花の香りだろうか。どこかで嗅いだことのあるようなその花の名前も、この女の名前も、俺はまだ知らない。
数年時間が進んでます。
「一気に暖かくなったね」。先週よりも幾分か薄着になった彼女が振り向き様に元気に笑った。「昼間はね。夜はまだ冷えるよ」と呆れながら上着を持ってきていない彼女の少し冷えた手のひらを包み込む。ピンク色の短いスカートを舞い踊る花びらのように揺らして、「確かにちょっと寒くなってきたかも」とひんやりとした指をおれのそれに絡ませながら呟いた彼女が「でも」とこちらを見上げたから視線を合わせる。「ちょっと冷えたのを口実に研磨くんの家に寄らせてもらうからいいの」。おれの腕を引っ張ってスキップをし出す彼女に「うわ、ちょっと」と慌てたように言いながら、そんな遠回しなことをしなくたっていつでも来ればいいのに。なんてことを思った。
「……口を開くと意外と普通だと言われる」 「そうだね」 「前もね、見た目だけギャルとか言わてれてて凹んだの」 「まぁ、実際そうだよね。うるさいけど」 「黙ったままでいようかな!?どう?!」 「静かで良いと思うよ」 「これであの男子たちにも馬鹿にされないぞ〜!」 「……言われたのってあのうるさい仲間たちじゃないの」 「ううん、他のクラスの男子。去年クラス一緒だった」 「そう」 「黙ってれば可愛いとか言われたって話とかよく聞くけどさ、私は逆に話してた方がいいんだって!」 「……おれは黙ってた方が可愛いと思うよ」 「え……!!………!?、!?」 「黙ってても表情うるさいけど」 「こ、孤爪くんが可愛いって言った…!」 「だから、みんなの前でも話すの控えてみたら」 「うーん、じゃあやっぱりそうしようかな〜話してる方がいいって言われたけど、孤爪くんが可愛いって言ってくれる方がいいもんね」 「うん、そうしなよ。たぶんもう言わないけど」
随分と空が近くなった。白が青に変わって、雲もだいぶ分厚くなってきた。遠くでうぐいすが鳴く声が聞こえる。ほととぎすの音色をこの耳が捉えるにはまだ早いけれど、誰がなんと言おうと、何を言っているんだと馬鹿にしようと、目をつぶればいつだって、俺の目の前にはあやめの花が、満開に咲き乱れているんだ。(千年前)
角名くんって恋愛向いてないよね。そう言って何人もの女の子が俺の元を去っていった。恋愛に向き不向きなんてあるものかと思うものの、そう言われる度に「あんたとの相性がただ悪かっただけじゃないの」なんて考えて、それ以上の気持ちを抱くことが出来なくなるから、やっぱり言われた通りに向いてないのかもしれない。周りが言う、"この人だ"と思えるような、そんな恋の衝撃が、この先俺にも訪れることはあるのだろうか。(現代)
今日もいつもの時間通りに先に寝ている角名くんの横へと潜り込めば、背中を向けていた体をこちらに回してそのまま抱えるようにしてぎゅっと引き寄せられた。あまりにもその流れがスムーズなので本当に毎回小さく「起きてる?」と確認するけれど、それに返事は返ってこない。けれど彼の背中に回した腕に力を込めれば、それに反応するようにまた少しだけ力が加えられる。寝ている彼が無意識に取るこの行動に、今日も満足と安心と心地よさを得て眠りにつくのだ。
「北」「久しぶりにそんな呼ばれ方したな」少し風が強い日の夜。ずっとずっとこの呼び方だったはずなのに、彼を苗字で呼ぶことがこんなにも懐かしく感じる。「もうお前も北なんやで」「……まだ慣れないんだよなぁ」。遠い遠い人だったのに、今では一番近くに居る人。それが未だに信じられない時がある。けれどギュッと抱きしめられた時に、彼の服から香る匂いが私のものと同じなことを確認するたび、あ、本当にこの人、私と一緒になったんだな。と、ふんわり自覚するんだ
「寝た…?」少し前から聞こえてくる声が随分眠たそうで、そろそろ終わりかなと思っていたら相手が寝てしまった。通話を切ればいいのにどうしてかそれが出来なくて、起こさないようになるべく音を立てずにそっと布団に潜る。たまに聞こえてくる寝返りを打つ布のこすれる音に口角を上げて、「おやすみ」と小さく呟いて目を閉じた。明日の朝、通話時間が10時間を超えた画面を見て驚きながら、「起きてる?おはよう孤爪くん!」と一番に嬉しそうに言ってくるだろう相手の顔を想像したら、寝落ち電話も悪くないなと思った。
「なぁ角名」 「どうしたの」 「今までも可愛えな、餅みたいやな、食べたいなぁってずっと思っとったけど好きやって自覚したらさらにむっちゃ可愛らしく思えて仕方ないんやけど、どうしよ!?」 「………そうだね、可愛いと思うよ」 「やっぱそうよな………でも角名に可愛い言われるのなんか複雑やわ」 「どうすればいいんだよ一気に面倒臭いな」
「そういや研磨の彼女のギャルいんじゃん」いつも通り本を読みながら鉄朗の言葉に耳を傾けるも、なかなか続きが紡がれることがなくて、「ねぇ、続きは」と彼の方を向くと気持ちが良さそうに寝息を立てているから、呆れて本を閉じて同じように横に寝転がってみる
「奥と手前でなんで矢印の表示ちゃうねん!」 「ようこそ迷駅と呼ばれる名駅へ」 「わかりにくくて嫌んなるわ」 「梅田よりはマシやん」 「「「「それな」」」」
「フランスも桜が結構咲いてるよネ」 「綺麗ですよね、エッフェル塔の周りとか」 「今度ピクニックとかするー?」 「お弁当作ります!」 「じゃあ食後のデザートは任せて〜」
「珍しいじゃん。本じゃなくて漫画なんて」 「本屋行く度に大きいコーナーがあるからつい」 「最近流行ってるもんなぁ。面白いしなそれ」 「鉄朗もやっぱ知ってるんだ」 「もちろん。あとそれの担当編集が知り合いなんだよな」 「へぇ、そうなんだ。すごいね」
「…………お前それ」 「懐かしくない?信介ニット!」 「なんで今そんなん着とんねん」 「寒いねって言ったらお婆ちゃんがね、くれたの」 「お前が着とると流石にちょっと恥ずかしいわ」 「えー、いいじゃんこれ。私大好き」 「まぁな」
「角名ー!!!!!!」 「うっわうるさ、信じらんねぇ」 「あの家の娘どっちが先に落とすかの勝負協力しとくれ!」 「最悪な勝負じゃん」 「絶対負けられへん!絶対俺が落とす!」 「一体誰と競ってるの」 「ツム。あいつ無理やり乗り込む気や。ずるいやつやで」 「勝手にやってろよ」 「先に心射止めたる。超すごい歌詠んで。な、角名!」 「詠むの俺かよ。絶対やらないからね」
「実家に帰ろうと思います」 「なんで?」 「何でって言われましても」 「いつからいつまで?」 「来週から2.3日だけ」 「ふぅん、そっか。まぁ楽しんできなね」 「なんか怖いよ倫くん」
「またお父さんが突然話だして…」 「なにを」 「角名くんとしばらく離れ離れになっちゃうね」 「…………また引っ越すの?」 「ううん、旅行行くの!」 「お前さ………はぁ、いいよもう帰ってこなくて」
「実家に帰ろうと思います」 「びっくりした。ややこしい言い方するね」 「全然驚いてないじゃん。2.3日で帰ってくるね」 「いってらっしゃい」
「風邪ひいたかなぁ」 「気のせいじゃない。バカは風邪ひかないよ」 「ええ!ひどいよ孤爪くん!」 「でも夏風邪はバカがひくんだっけ…気をつけてね」 「優しい!けど全然優しくない!」
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