デットオンリー






イタリアのとある一等地の家の一室は異様な空気が流れていた。

数人の怪しい雰囲気の男達、そしてその中心にいる一人の女。

女は深刻そうな表情、男達もそんな彼女に釣られるように同じく硬い表情をした。

『事態は深刻だ・・・。』

そう重々しく女は言った。

「はい。」

女の言葉に答えるように男の中の一人が口を開いた。

その男の言葉を固定するように周りの男達も重々しく頷いた。

『君たちに命令を下す…この男を』

そう言って女は一枚の写真を男達に見せた。

男達はその写真に写る者を見て目を見開き、言葉を失った。

女は言葉を続けた。

『殺してきてほしいのよ・・・・お願い。』

女の真っ直ぐとした瞳を見た、男の一人は女と同じく真っ直ぐな瞳で言った。






「無理ですね」

『へ?』

男のあまりにも綺麗な断りの言葉に女は思わず間抜けな声が出た。

えっ!ちょ、今なんて言った?と女の口から出る前にガタガタと音と共に男達は帰る準備をしている。

「はい、撤収ぅ〜。」

「お疲れ〜。」

「帰りに飲んで行かねぇ?」

「賛成。」

そう言って男達はまるで定時に帰れることを喜ぶサラリーマンのような発言をしながらその場を去ろうとしたのだ。

だが、それを許さない女(部長的存在)がいた。

『ちょっと待てぇええええええええええ!!』

女は男達を追おうとして転び、その体制のまま目の前にあった足の飛びついた。

「・・・・・・・・・・・・。」

足を掴まれた男、その場にいた男達の中のリーダーであるリゾットは相変わらず何を考えているのか分からない目で女を見た。

女は必死な顔で男を見て言った。

『そんなあっさり断らなくてもいいじゃんかぁ!!お願いだよリゾットぉ!!お願いだからさ「無理ですね」

女の言葉を遮って、リゾットはさっきと同じ言葉を口にした。

だが、女は挫けない。なぜなら、これは自分の命に係わる事であるからである。

『お前ら、命の恩人がこう言っているんだぞ。ちょっとは考えてくれたっていいじゃないかぁああ!!』

そう言ってオイオイと泣きだす女を見て、大きくため息を吐いたリゾットは言った。

「ジョナサンさん・・・・あなたが救ってくれた命を俺らは無駄にしたくないんですよ」

そう、リゾットに縋り付いて泣きだした女はリゾットが率いる暗殺チームを救った女である、ジョナサンであった。

彼らはなるべく彼女の願なら何でも聞いていたが、今回はそうはいかない。

「そうだよ。俺ら、死にたくないし」

そう言った男をジョナサンは睨み付けた。

周りは(馬鹿・・・)と思う中、ジョナサンはその男の胸倉を掴んだ。

『よくも呑気に答えたな…お前を魚のえさにして釣り糸に垂らすぞゴラァ!!』

そう言ったジョナサン、そして怯えた男、ペッシは大声で「アニキィ!!」と叫んだ。
それを見ていたもうひとりの男は口を開いた。

「別に殺されるわけじゃないんだ。いいじゃねぇか」

『よくないッ!!』

男、ホルマジオの発言にジョナサンはペッシの胸倉を掴んだまま叫んだ。

『私の貞操の危機なんだッ!!』

「100もゆうに超えたババアが貞操なんて言ってんじゃねぇぞ!!」

そう言ってジョナサンに怒鳴るのはギアッチョである。彼はいつもジョナサンと口喧嘩になるのであった。

『100歳だろうが10代だろうが、貞操は貞操なんじゃボケェ!』

そう言って自分が掴んだ胸倉を思いっきり揺らしている。

ここで重要なのは、ダメージを受けているのはペッシと言うところだ。

まったく、不幸な男である。

「別にいいじゃねぇか。あの人ならアンタの事、大事にしてくれるぜ。」

なんとかして弟分を助けるべく、プロシュートは口を開いた。

『それのどこが大丈夫なんだゴラァ!!』

またも胸倉を揺らす、もちろんペッシをだ。

そしてジョナサンはもう意識がない彼の胸倉をパッと離し、ドタンと大きな音を立てても無視をして話し出した。

『アイツが私に指一本でも触れたと考えるだけで・・・・・・・おぉ、寒気がする』

そう言って自分を抱き締めるような動作をしたジョナサン、本当に寒気がしているようだ

「顔だっていいじゃないか」

そう言ったイルーゾォをキッと睨み付けてジョナサンは怒鳴った。

『顔しかいい所がねぇだろうがッ!!あんなナルシストのド変態野郎と・・・ウッ!吐き気がッ!!』

完全に彼女の頭には一人の男の事だけが頭に浮かんでいるのだろう、顔はどんどん不快感に歪む。

そんなジョナサンに彼女の家の使用人であるブラフォードは声をかけた。

「あ、あの…ジョナサン様、お取込み中悪いのですが・・・・それが」

そう言って言葉を濁す使用人にジョナサンは言った。

『どうしたのブラフォード?』

そう聞かれたブラフォードは意を決したように口を開いた。

「そ、それがその火中の話題の人物が家の前に来ておりますが・・・・」

『へ?』

本日二度目の声を上げた。

それを聞いた男達は巻き込まれないように逃げようとするのであった。












「さ、俺たちは帰るk『お願いです。後生だから、ね!お願いですぅううううううううう!!』





<後書き>
私の文才では全員を登場させることはできなかった・・・。
結局、この後はジョナサンが奴を瞬殺しました。
火事場の馬鹿力って奴ですね(ちがう)






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