昔は押していた






「さーちゃん!!」

まだ歩き方が上手じゃない私の可愛い、可愛い幼馴染は今日もひよこみたいに私の後を歩く。

それが可愛くて、可愛くてしょうがない。

私は思わずアンジェをギュッと抱き締めた。

マジで可愛い、アンジェ…ディカプリオもきっと真っ青なはずだよきっと。

「さーちゃん」

抱き締めているアンジェが私の服のそでをクイクイと引っ張ってくる姿も更に可愛さを倍増させた。

『なぁに、アンジェ?』

デレデレの笑顔で答えれればアンジェはニパッと花咲くように笑った(鼻血もんですよ)

「けっこんちてッ!!」

『・・・・・・へ?』

思わず聞き返してしまった。

まさか、そんな言葉がアンジェの口から出るとは…てか結婚なんて言葉をどこで覚え・・・聖子ちゃん以外いないよね。

頭を覆わず抱えそうになったが、アンジェが心配するので必死に止める。

そして崩れた顔を必死で見つくろってまた笑った。

『アンジェ、結婚っていうのは好きな男の子と女の子がするもので・・・。』

そう言えばアンジェはキョトンとした顔をして「ぼく、さーちゃんのことすきだよ?」と言って首を傾げた。

かわッ!!激かわ!!もう、本物の天使なんて目がないよきっと!!

って、思っている場合じゃない。アンジェのこれからの人生の為にちゃんと言っておかなくちゃ。

『でもねアンジェ。アンジェが思っている好きと結婚の好きは違うのよ』

「・・・・・・・どうちがうの?」

そうアンジェの真っ直ぐなグリーンの瞳で見つめられて、私は言葉を失ってしまった。

そんなたとえ大人として生きていた私でさえも答えがよく分かってないのを、子供に教えられるはずがない。

私があたふたと焦っているとアンジェは今までの笑顔はどこに行ったのか、真剣な顔で私を見ていた。

「ママがいってた。けっこんはだいすきなことするもんだって…ぼく、さーちゃんがすき」
『え・・・・・・。』

前世の所では草食系男子とか言っていた時代だったのに、あまりにもストレート発言にさすがの私も言葉を失った。

カァッと顔に全神経が集中したように熱くなったのは感じた。

きっと真っ赤な色をしているんだろうと思いながら、目の前のアンジェを見た。

あんな歯の浮くセリフを言ったのに、当の本人はニコニコと笑って私を見ていた。

(お、恐ろしい子・・・・。)

お姉さんは心配です、この子は将来に女ったらしにならないか・・・。

ダメ絶対、プレイボーイ!!

確かにアンジェは将来ディカプリオ級のイケメンになるだろうけど、女の子を誑かすような子にはなっちゃダメ。

一人の人をただ純粋に好きになって大切にしてくれればいい・・・。

あ。きっとアンジェが結婚する人はジュリアロバーツ級の美人さんなんだろうな・・・。

いいなぁ、それはとてもいいなぁ・・・。

ニヘニヘと笑っていた私にドンッとお腹に衝撃がきて思わず声を上げた。

『ウッ。』

体勢はそのまま後ろへと倒れて、ドサッと自分の体の上になにかが乗ったのが分かった。

それが誰だか理解する前に当の本人はニコッと可愛い笑顔を私に向けて言った。











「けっこんして!!」

お姉さんは卒倒、寸前です・・・・。






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