ディオの奇妙(ある意味)な冒険






はじめに、素敵な絵をくださった匿名希望さんに感謝を・・・。







今日も奴・・・ディオ・ブランドーは笑っている。

心の底から笑う日なんて彼にはないが、一応顔だけは笑っているのだ。

だがディオの内心は腸が煮えくり返っていた。

なぜなら、彼がひそかに心を寄せる相手がつい先日に婚約者を連れて現れたからである。

別にその女とディオは仲が良かったわけではない・・・てか逆に悪い。

女はディオを極度に嫌っていた。

だから家を離れ、全寮制の学校へと通ったのである。

そんな事は知らない哀れな男、ディオ・ブランドーである彼はそんな事はお構いなしに女の行為を裏切り行為と受け取ったのだ。

まさにストーカーと同じ考えである。

愛だからって何でも許されるなと思うなよ、ゴラァ!!

・・・・おっと、失礼。

そんな勘違い迷惑野郎の彼が今いる所、それは全寮制の学校である。

そう、その女であるジョナサン・ジョースターが卒業した学校である。

なぜならディオは意中の女を奪った男、トム・クリスタルボールの事について調べに来たからである。

彼の彼女の出会いはこの学校からと聞いたディオは調べるために来たのであった。

そして優しげな作り物の笑顔を女子に向けた。

女子はキャーキャーと言って、周りに集まってくる。顔だけいい彼だからこそできる技である。

ディオは内心、鬱陶しいさを感じながらも言った。

「ねぇ、ジョナサンとトムの事について何か知ってる?」

そう聞けば、女子たちは相変わらずの笑顔のままで答えた。

「ジョナサン?・・・・・・あなた、ジョナサンの事を知っているの?」

そう言ってジョナサンの事をなれなれしく呼ぶ目の前の女に少なからず殺意を湧いたディオだったが相変わらずの笑顔で「そうだよ」と言った。

「ジョナサンはいい人よ、誰にでも笑顔で優しくて皆があの人に憧れているわ」

そう言った女にディオは笑顔のまま、拳をギュッと握りしめた。

(ジョナサンは自分には見せたことのない笑顔をこんなクソみたいな女に見せているのかッ!!)と、なんとも勝手な事を考えて彼は怒りに震えていた。

ハッキリ言おう、お前程じゃねぇよ。

・・・・おっと、失礼。

そんな彼の怒りを知らない、目の前の女はうーんと考える素振りをしていた。

「トムって…誰だったかしら?」

そう言っている女の隣にいたもう一人が「あっ!」となにか思い出したようなそぶりをしていった。

「ほら、トムっていつもジョナサンの隣にくっついて歩いていた人よ」

それを聞いたディオが更に怒ったのは言うまでもない。

でもその怒りも次の目の前の女の言葉によって、一気に吹っ飛ぶ。

「あぁ!!あのゲイの人ねッ!!」




「ゲイ?」

ここにきっとジョナサンがいたら大爆笑ものだろう。

あのディオがぽかんと間抜け面をしているのだ。

ディオがポツリと言った言葉を拾った、女は「そうよ」と言った。

「トムは同性愛者なのはこの学校では有名よ。まぁ、噂だけど」

そう言って笑っている女たちの声にディオは不快感を感じながらも喋った。

「その噂をジョナサンは知っているのかい?」

そう聞けば女は首を横に振った。

「知らないんじゃない?ジョナサン・・・そう言う話は嫌いだから」

そう言った女の横にいた女は「そう言えば。」と言って1人で喋りだした。

「トムの実家ってたしか・・・アメリカの大富豪じゃなかったけ?」

それはディオも知っている情報だったため、ディオは女たちが話に夢中になっている間に帰ろうとした時だった。

だが・・・。

「えぇ、そうよ。この前、父親が死んでしまって財産は全部トムの所に行くらしいわ・・・・ただし結婚しなくてはいけないけど。」

それを聞いてディオは目を見張り、足を止めた。

「結婚?」

そう聞いたディオに女は「そう。結婚しなくちゃ、財産は入らないらしいわよ・・・けどトムはゲイだから結婚なんて無理ね。」

それを聞いたディオがニィッと笑うのを女たちは話に夢中で気が付かなかった。

「そう言えばあなたって、ジョナサンとどういう関係・・・・・あれ?」

女たちが前を見たとき、そこにはもうさっきまで話していたディオの姿はなかった。




「フフ、ハハハハハハハッ!!・・・」

ディオは笑う。久しぶりに心の底から笑う。

こんなに嬉しい事はない、こんなに愉快な事はない。

ジョナサンはこの事を知ったらなにを思うだろうか、どう反応するのだろうか?

そう考えながら、それが楽しみで仕方ないディオは笑い続ける。






















「やっぱり、お前には俺しかいないんだよ、ジョジョ。」







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