愛を囁く、その人は・・・。





『ジョージ』

優しいほほ笑みを息子にかければ彼は私に似た緑色の瞳を輝かせて笑ってくれた。

「あっ!!あ!!だぁ」

可愛く笑う息子にデレッとしてしまうのは仕方のない事だと思うんだよね。

揺すったりして遊んでやるとまた天使の笑みを見せてくれるジョージに私はキスを送る。

『ジョージ、幸せにおなり。私よりもずっとずっとずっとね・・・ジョージ』

あぁ、涙が溢れてくるこんなに愛しているのに私はこの子の傍にはあまりいられない。

ごめんなさい、ごめんなさい。

「う?」

息子の可愛い声にクスッと笑ってしまう。

『君には可愛いお嫁さんが出来るかな?私的にはエリザベスあたりがいいと思うんだけど、そこん所どう思う?』

まだ一歳と数か月の息子に何を言っているんだろ周りは思うだろうが、いいではないか。

母は息子の数年先まで見据えて考えてやらなくてはね。

そう思っていると背後に誰かいるのを感じて、後ろを見ればストレッツィオがいた。

何時も無表情の彼の瞳には少しばかり、悲しみが感じ取られた。

その手には私が保護したエリザベスの姿が・・・。

彼に女の子を預けるのは少しばかり心配だが、私には頼りが他にはないのだ。

『エリザベス・・・愛しているよ』

私はエリザベスにもキスを送る。

まだ夢の中にいるエリザベス、涙が出ちゃうくらいに可愛い。

それをストレッツィオに悟られないように抱きかかえる息子を見下ろした。

エリザベス同様に夢に旅立った息子の寝顔を見た。

更に涙が溢れてポタッと零れ落ち、ジョージの顔に当たる。

たとえ、涙で歪んでも私はそれを目に焼き付けた。

私はきっと・・・。










『愛しているよ、ジョージ』

この時のジョージには二度と会えないのだから・・・。






『あぁ、なんて可愛いの。ジョセフ』

初めましての対面で初孫のジョセフを見つめた。

ジョセフはクリクリの目で私を見つめている、どうやらクリクリの目はエリザベスの遺伝らしい。

愛するあの二人から生まれた子供はなんて可愛いのだろうかとうっとりしながら見つめた。

『エリナ、すごく可愛いわ!!』

そう興奮気味に後ろにいたエリナに言えば、相変わらずの優しい笑みで私を見ていた。

「そうね、ジョナサン。貴方の孫よ・・・」

そう言われて私は顔から笑みを消し、首を横に振った。

『いいえ、違うわエリナ。ジョセフは私の孫ではないわ。エリナ、あなたの孫よ』

そう言えば、エリナは手を口に当てて、目に涙を溜める。

「ジョナサン・・・。」

私はニッコリと笑みを作って言った。

『私にはそんな資格がないのよ、エリナ・・・。』 

そう言えば、エリナは耐えきれないように泣き崩れた。

私はそんなエリザベスを抱き留めて言った。

『あぁ、エリナお願いだから泣かないで。私は何もできなくなってしまう。』

そう言ってもエリナの目から落ちる涙は止められない。

「そんな事ってないわ、ジョナサン。貴方が一体何をしたっていうの?神様はなんで貴方にだけに残酷なの…。」

私は泣いているエリナにどうする事もできない、だって泣かしている原因は私なのだから。

そう思っているとジョセフがいるベビーベッドから大きな鳴き声が。

鳴き声というか、大声でなにか言っているようだ。

それを見て私はほほ笑んだ。

『私がエリナを泣かしたから怒ったのね・・・・優しい子。』

私はジョナサンの顔を撫でてキスを送って、その場を去った。




『出して。』

私は外に止めてあった車に乗り込んで、運転手に言った。

運転手はバックミラーで私を見て、そしてニッコリとほほ笑んで言った。

「どちらまで?」

私はバックミラー越しに運転手と目があって言う。

『決まってるでしょ?』















『空軍基地に行って。』

忌々しい、私の青春と憎悪の断片がだまだ残る。






「ばあちゃっ!!ばあちゃっ!!」

私の可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて仕方がない「やしゃご(ひひまご)」の承太郎。

ちっちゃい体で必死に私の後を追ってくる姿なんて鼻血ものよ。

ホリィの時も初めての女の子で喜んだけど、やっぱり自分の子孫は可愛いものだ。

今では私より老けてしまったジョセフも私にとっては可愛い孫なのだ。

「ばあちゃ、ばあちゃ」

『あぁ、なんて可愛いの承太郎!』

思わずギュッと抱き締めてしまう。

そして頬ずりして幼子の肌のスベスベさにうっとりとしていた。

(あれ?発言が変態っぽい?)

承太郎は私の行動に嫌がることなく、キャッキャと笑っているのが更に私の心を打つ。

『大好きよ承太郎!!』

「ばあちゃ、すき」

そう言ってニパッと笑う承太郎。

ズキュウウウウウウン

心臓を打ち抜かれた。

『ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、ホリィ!!』

近くでほほ笑んでみていたホリィを抱き締めた。

『こんなかわいい子を産んで、なんて可愛いんだ。自慢の孫だ』

「ふふ、ジョナ。私もあなたの孫で自慢よ」

そう言ってほほ笑むホリィ、なんて可愛いの。

二人一変に抱き締めてほほ笑んだ。












『大好きよ、二人とも』







『はじめまして。貴方が仗助?』

目の前に現れた外人の若い女に仗助は一瞬見とれたが、すぐに警戒モードに入る。

「そうっすけど…アンタ、誰っすか?」

柔らかく行っているつもりだろうが、その瞳には警戒の色が見える。

そこが可愛いなと思ってみているジョナサンはひ孫を見つめた。

玄孫がいるのに、ひ孫のほうが年下とは…孫のジョセフには後でたっぷり説教をしてやらくてはと思いながらも可愛い可愛いひ孫を見てほほ笑む。

そんな突然ほほ笑んだ目の前の人物に仗助は更に警戒するが、彼の目の前からジョナサンの背後から現れた人物を見て仗助は警戒を解いた。

「承太郎さん!」

呼ばれた承太郎は仗助に向かって軽く手をあげて挨拶をする。

そうしてその挙げた手をそのまま、ジョナサンの肩を叩いた。

「ジョナ婆ちゃん、あまり仗助を驚かすんじゃねぇよ」

そう言われたジョナサンはそこでやっと承太郎の存在に気づいたらしく、嬉しそうにニッコリと笑って承太郎にタックルばかりに抱きついた。

『承太郎!!あぁ、なんて可愛いの!!』

そう言われて承太郎はすごく嫌そうな顔をする。

もういい年の大人がしかも男が「可愛い」と言われて嬉しいはずがない。

それを何度も目の前の行ってもこの俺の先祖は分かってくれないと承太郎は内心ではそう思って呆れていた。

そんな美男美女の抱き合いシーンを目撃してしまった仗助、だがそんな事よりも気になる単語があったのを彼は聞き逃さなかった。

「ば、ばあちゃんッ!?・・・・って事は、ジジィの奥さ「違うぜ、仗助」承太郎さん!?」

間違った方向に行きそうになった仗助を止めた承太郎は首に張り付くジョナサンを剥がして、仗助と向かい合う形で立たせた。

仗助を見たジョナサンはまたほほ笑んで、仗助を見ている。

「ほら、ジョナが自分で言え」

そう言って背中を押されたジョセフは自分のひ孫に自己紹介をした。

『私はあなたの父親の祖母である、ジョナサン・ジョースターです。つまり私はあなたの曾祖母(ひいおばあちゃん)だよ。仗助、はじめまして。』

そう言って嬉しそうに自己紹介をしたジョナサンの言葉に仗助はピタリと動きを止めた。

その反応を見たジョナサンは『あぁ、仗助もなんて可愛いのッ!!』とそう言って抱きついた。

仗助はフリーズしているので、嫌がるそぶりもない。

そんな二人の様子を見ていた承太郎は帽子を目深にかぶって何時ものセリフを吐いた。













「やれやれだぜ」

それから、仗助の絶叫まである30秒・・・・。






『徐倫、やっほー!刑務所暮らしってどうなの?』

SPW財団が来ると聞いていたのに現れたのは予想外の人物だった。

荒れた刑務所に響く、なんとのんきな声に回りの囚人もその人物を見ようと独房の外を見た。

そこには20代前後の若い女が数人のガタイのいい男を連れているからなんと奇妙に映っただろう。

ある人物一人を除いては…。

「ジョナ婆ッ!!」

それは呼ばれた本人である徐輪である、なんでここにいるのと言っている徐倫を無視して女は徐倫に話しかける。

『どうして貴方は私じゃなくて、ジョセフの方に似ちゃったのかしら?あの子からよ刑務所行の遺伝子が発生したのは。まぁ、ホリーは違うけど…承太郎なんて自分から刑務所にってあれ?あれは拘置所だったのかしら?まぁ、いいわ。警察のやっかいになるなんて私とジョージはしなかったわ!』

それを聞いて黙ってられなかった徐倫はすぐさま反論する。

「それが無罪で捕まって傷心中の孫に対する言葉なの!?それとジョナ、私とあのくそ親父を一緒にしないでッ!!」

『一緒も何も、親子なんだからなにがいけないのよ・・・・・・・え?無実?』

キョトンとした顔をするジョナサンの姿に本当い100歳超えてるのかと謎に思う。

徐倫はそう思いながら、大きく頷いた。

それを見たジョナサンはなにか考える素振りを見せて『わかった』と一言言ってその場を去った。

そして数時間後・・・。

「空条徐倫、釈放だ出ろ」

「へ?」

看守が現れて言われた事が信じられんかった。

きっと私はアホ面しているんだろうと思っていても止められない。

看守はもう一度口を開いた。

「お前の無実が証明された…出ろ」

何がなんだかわからないが、身に覚えがある。

それは・・・。

「ジョナ婆ちゃんの仕業か・・・。」

刑務所の外に出れば、ジョナ婆ちゃんが手を振って待っていた。

『徐倫!!お勤め、ごくろうさんでした。』

「どこのマフィア映画よ」

思わず突っ込んでしまったのはしょうがないと思う。

「お婆ちゃん・・・・何したの?」

『なにが?』

そう聞いてもお婆ちゃんは笑ったままだ。

やめよう・・・深く詮索するのは、絶対後で後悔することになる。

そう思って私はお婆ちゃんと腕を組みながら帰った。

お婆ちゃんは今日もいつもと同じように、同じ言葉を私にはいた。











『愛してるわ、徐倫』

私も・・・・。

















「「「「「「愛してるよ、ジョナ」」」」」」



<後書き>
ちょっとアンパンマンの先の展開のネタバレしている。
そうですちょっとシリアスチックになる予定なんです
六部構成になっています。
本当に大好きで大切な人に「愛している」ってのは嬉しくて、涙出ちゃうもんなんです。






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