監禁プ・・・・
何とも悪趣味な暗い闇だ。
私は目を覚めるたびにいつもそう思う。
目を開いても広がるのは閉じている時と同じ闇だ。
ふぁ〜と欠伸をすれば、体の振動が伝わってカチャンと金属音がする。
その音に不快感しか感じなかった。
見えないのだがそこにあるであろう足に付く鎖を睨み付けた。
・・・やめよう。鎖に怒りをぶつけたって外れる訳じゃない。
そう思っている私に誰かが触れた。
ヒヤリとした感触が顎に伝わり、背中に寒気が走る。
ゴツゴツとした手が私の両頬を包み込んで、相手がニコリと笑う気配を私は感じた。
そこにあると予想してソイツの両眼を睨み付けてやれば、クスクスと嫌な笑い声が響いた。
「今日も元気そうでなによりだ。ジョナサン・・・。」
艶やかな声に普通の女性なら腰砕けになるその色香はもはや私にとっては吐き気しかもたらさない。
私は忌々しく奴の名前を呼ぶ。
『元気なものか・・・とっと私を出せ。ディオ』
そう言えばディオは私の耳い口を寄せたのであろう、耳元で声が聞こえた。
「イ・ヤ・ダ・ネ」
そう言った瞬間、パッと手が離されて私の体制がガクンと下がる。
ガチャンッ!!と鎖が音をたてた。
ディオは私がこの音を嫌いだと知ってわざとそうするのである。
コツコツとさっきは足音も立てずに歩いていたのに、わざわざディオは音を立てて歩き部屋のカーテンを開けた。
完全に日光を通さないカーテンは閉まっていれば夜だから朝だか全く分からなくなる。
開けられたカーテンから僅かに光が漏れて窓枠の影を部屋に映していた。
今日の明かりからして満月なんだろうなぁと思っているとディオが私の顔を先ほどと同じように手で包み込んだ。
満月のせいでディオの顔がハッキリと見える。
私が眉間にシワ寄せているとディオはニヤリと笑う。
キラッと吸血鬼の証である牙が光った。
ディオはそのまま私に顔を近づけようとする。
ペッ、とディオの顔に唾を吐いてやって、拒否の意志を示した。
ざまぁっ!!
そう思っているとディオは顔に付いた私の唾を指で取りった。
その顔が恍惚とした表情で、嬉しそうに笑っていた。
「・・・・・・・・・。」
そして奴はその指をそのまま口に持っていき。
舐めた・・・・・・・。
『・・・・・・・・・・・・・・。』
それを見た瞬間、自分の体温が一気に下がるのを感じる。
ディオは私の事など目に入っていないのか、何度も何度も指を舐めた。
その光景は見るに堪えないものとなり、私はギュッと目をつむった。
クスッとディオの笑い声が聞こえたと思ったら、冷たい手が私の髪を撫でた。
髪の毛ごしに伝わるディオの体温に私の体温が奪われていく。
ジワジワと私の体は冷たくなっていくのだ・・・・。
「ジョジョ。」
抱き締められ、そして私は闇の囚われる。
「ジョジョ…」
この目の前の美しい怪物がジワジワと私を侵食していく。
「ジョジョ…」
私は目を開き目の前の怪物を見た。
『ディオ・・・。』
名前を呼べば、彼は私を見て不敵に頬笑む彼・・・。
頭がボーっとして何も考えられない、きっとあと数秒で私の精神は崩壊するだろう。
何年も、何年もこんな所に閉じ込められて今までよくもったものだ。
私は最後にこの最も憎むべき怪物を目に焼き付けておこうと思った・・・。
なぜかこの顔と別れるのかとディオの顔を見たらなんだか空しい気持ちになった。
きっと意識がもうろうとしているからこんな思考が変になるんだろう。
だから私が今からする行動もきっとそのせいにちがいない・・・。
私は鎖の音なんて気にしないで手を動かし、怪物の顔を掴んだ。
そのままググッと体を持ち上げ、頬にキスをした。
「・・・・・・・・。」
ディオの驚いた顔を見て、満足した私は手の力を抜きそのまま真下に落ちた。
落ちる前にディオの硬い腕に抱きとめられて痛いがまぁ、気にしない。
私は満足な気持ちで久しぶりに笑みを浮かべ、私は闇の世界に身を落とす。
『お前なんて嫌いだ。』
<後書き>
うん。
自分で書いてて引いた・・・。
ディオのファンが減りそうな文だ・・・。
すいません。