Just call my name | ナノ
【Just call my name】


――この距離を、想う


「そう、結婚決まったんだ」
『悪いな』
「いいんだ。決めたのは、…僕だから」
『……あ、』
「…名前は呼ばないで。もう、貴方に呼んでもらえる名前じゃないから」

会話を終え、電源を落とす。
暗闇に映る自分の表情が、とても痛々しくて。
この表情ならば、誰からも同情を得られそうだと、ふと考える。

(ごめんね)
(貴方が選んだのは、僕じゃなかった)
(でも、それだけじゃない)
(僕が選んだのも、貴方じゃなかった)

くすくすと、声が漏れる。
あぁ、なんて楽になったんだろう。
とても爽快な気分だ。

「あ、電話終わった?」
「うん、やっとね」

背中から温もりが伝わる。
腰に回された腕があまりにもか細くて。
愛しさが増す。

「ごめん、ずっと待たせて」
「いいよ。だって、帰ってきてくれたから」

振り返り、そっと、口付けを落とす。
同じ温もりを与え合う為に。

「これで、終わりだよ」
「…うん」

そっと、首に手をかける。
同じ瞳が、そっと微笑を返すのを見ながら。
口付けたまま。
温もりを分け与えたまま。

(僕らは、ひとつになる…)


――呼んで
名前を、呼んで
僕が選ぶのは、貴方ではないけれど
僕が選ぶのは、たった一人の、僕の分身だけ…


【Fin.】

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後書代わりの戯言

この作品は、ついったでお近づきになれた、
初人さんの描かれるイラストの雰囲気をイメージして書いてみました
なんというか、「このイラストを元にして書いたんです!」じゃなくて、
その人が描かれるイラストの雰囲気そのものをイメージして書いたのは
初めてなので、面白かったです

あと、割と初めてかもしれない、某キャラクタをイメージして書きました
今まで書いてみたかった彼ら、ですが…なかなか難しくて(苦笑)
まぁ…多分、わかる人にはわかります(爆)

宜しければ感想等頂ければ幸いです!

web clap


2010/09/02 Wrote
2010/09/04 UP


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