本当にほしいもの | ナノ
【本当にほしいもの】
いつも考えていた。
彼は、何に喜ぶのだろうと。
物を与えてもどこか哀しい笑顔だけで。
「なぁ」
「ん〜?」
いつものように煙草を咥えながら、返される言葉。
こっちの気持ちも知らないで。
「何が欲しい」
「…別に」
やや溜息混じりの言葉。
これがもう何度も繰り返されたやりとりの始まりだからだ。
「――俺はね」
暫く紫煙を眺めていた彼は、ぽつりと呟いた。
「本当はなーんもいらないんだ…あんたさえいれば」
その言葉に、今度は俺が黙る番だった。
慌てて口元を隠しても、きっと彼にはバレるだろう。
「…なーに赤くなってんのさ」
それは、漸く見ることのできた、彼の満面の笑み。
【Fin.】
--------------------------------------------------------------------------------
後書代わりの戯言
いつもお世話になっている、
ぷにもこさんの従妹さんの描かれたイラストから触発されたSSです
思えば、ぷにもこさんとのお付き合いはもう10年以上になる…んですよね?
長いお付き合いになったものです…w
宜しければ感想等頂ければ幸いです!
web clap
2012/10/17 Wrote
2012/10/22 UP
コイ