一 | ナノ
【一】
見つけたのは、学校の帰り道のことだった。
駅のホームでひとり、佇む姿に、奪われた。
(心臓が、痛い)
気付いた時には、それが恋なのだと思い知った。
(目が離せない)
名前も知らない。
どんな性格なのか。
どんな風に話すのか。
どんな風に笑うのか。
どんな風に…恋を語るのか。
(視界に入りたい、入りたくない)
自分が見つめていることに、気付いて欲しい。
気付いて欲しくない。
矛盾した想い。
(どうか、気付かないで)
たったひとつはっきりしていること。
自分と同じ学校の生徒で。
そして、同じ性を持つということ。
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コイ